古墳時代(4~7世紀ごろ)の水田・集落跡とみられる鳥取市の本高弓ノ木遺跡から、稲など穀物の穂を摘み取るために使われた「穂摘具」が2点出土した。1点は木製の台に鉄製の刃が差し込まれた古墳時代中期(5世紀)のもので、ほぼ完全な形で見つかったのは国内では初めて。その穂摘具は、長さ10,4センチ、巾4.1センチ、厚さ0.8センチの長方形のカシの木に長さ7.2センチ、巾1.7センチ、厚さ0.1センチの鉄刃が差し込まれたもの。もう一点は、古墳時代前期(4世紀)の地層に埋まっていた。長さ8.15センチ、巾4.1センチ厚さ0.9センチの平行四方形のヤマダワの台に鉄刃の一部が残っていた。どちらも手元側に2箇所の穴があり、作業しやすいように紐を通して使ったと見られ ている。2点の形状が異なっていることから、この時代に穂摘具は進化していたことがうかがえる。古墳時代の農具の変遷を探る貴重な資料とされている。