奈良県桜井市教育委員会が4日に、同市の大福遺跡跡で、弥生時代後期(2世紀後半)の木製よろいが見つかったことを発表した。トチノキの巨木をくり抜いて作られたもので、前板2枚と後板1枚に別れており、革ひもで結びつける構造。後板は精巧に加工され、背中に合うよう湾曲している。前板は2枚に分けられていることで動きやすいようになっている。よろいの厚さは1cm程度で、直径数ミリの穴が規則的に掘られており、紐を通すことでさらに強度を増す作りとなっている。剣や弓矢などにも耐えられる強度があったと見られている。保存状態は極めて良好でこれほど残っているのは珍しい。出土された部分は全体の約6割ほどに相当し、全体の形が復元できるという。橋本達也・鹿児島大総合研究博物館准教授(考古学)は「弥生時代の木製よろいは、これまで小片の出土が多かったが、今回は形状がよくわかる。よろいの変遷を考えるうえで貴重な発見だ」