経済成長率が6年ぶりに1ケタ台へ減速した中国において、経済成長率8%を死守するためには、輸出に頼る成長モデルから脱却し、内需拡大に重点を置いた景気対策がとられている。そのひとつが「中国版緑色新政(グリーンニューディール)」で、甘粛省では約3万6000平方キロメートルを来年までに植林する。黄河の水流保護や地球温暖化対策だけでなく、失業した農民工の雇用を吸収し、再生された果樹栽培などの収入も見込めるという、内需拡大の大きな柱となる。当選前のオバマ米大統領がグリーンニューディールを訴え始めたのと同時期に提唱され、オバマ氏に呼応する中国の計算が読み取れる。20万人の雇用が生まれるとの試算もあるが、50万人の失業者に対する雇用創出には追いつかず、また、水の蒸発量が降雨量の4倍以上という乾燥地帯で「枯れたら植える繰り返し」になりかねないという懸念もある。オバマ氏に名指しで内需拡大を求められている以上、「緑色新政」と米中関係は無関係ではない。