小倉百人一首、万葉集、徒然草などの文献にも残されており、日本人と関わりが深いナラノヤエザクラ(国の天然記念物)。ナラノヤエザクラは八重桜の一種であり、八重桜の中では比較的小ぶりな花をつけるのが特徴である。現在では、奈良を代表する花として、奈良の県花、市章、市花としても用いられている。奈良女子大学と奈良県でつくる「奈良八重桜PJ(プロジェクト)」では、ナラノヤエザクラの花から培養された酵母を利用し、清酒を作り出した。大学では市内のナラノヤエザクラの花の調査を行い、昨年度に調査した300のうちの1つから清酒酵母の培養に成功。奈良市の「今西清兵衛商店」(酒造会社)の協力のもとで酒蔵での仕込みもされており、来月の早いうちには新酒がしぼり上がるという。大学生協では5月より販売を予定している。県工業技術センターでは「天然の花から清酒酵母を培養できたことは珍しい。清酒の商品化に至ったのは更に貴重」と語る。大学と県では酵母の取得方法、清酒の製造方法などの特許を出願している。