富山県黒部市の阿古屋野台地では、8月に赤く色づいた季節外れの紅葉のような光景がみられる。これはミズナラやコナラといったナラの枯れが進んでいるのである。原因はカシノナガキクイムシである。全国でナラ枯れの勢いがとまらない。最初確認されたのは、1930年代に宮崎、鹿児島である。現在被害地は24府県である。人が里山林の手入れをしなくなり、カシノナガキクイムシが繁殖に好む直径30センチ以上の太い木が増えたこと、さらに生息範囲が北限に広がっていることなどである。昨年から森づくりクラブで荒れた森の遊歩道を整備し、光の差し込む森に再生しようとしている。伸び放題の竹は竹炭づくり、コナラはほだ木にしてシイタケ菌をうちこんだりと、またどんぐりから苗を育て、森に植えかえるなどの活動をしている。代表の柴田氏は「50年先の森の姿を想像しながら、まだ一歩を踏み出したばかりです」と話す。