日本の森林蓄積(全国の森林の樹木の幹の体積を足し合わせたもの)は2008年度、44億立方メートルだあったが、1950年から森林面積は2500万ヘクタールほぼ変わらずである。これは、伐採が先送りされ、木が高齢化して太くなった結果である。この結果は森に生息する鳥などにも影響を与えている。具体的には、樹齢8年未満の若い森を好む鳥(モズ、イヌワシ、カッコウ)の生息域が減少する傾向があり、逆に成熟した森を好むメジロなどの留鳥は増加である。地球温暖化を招くCO2を吸収する能力が注目される森林。政府の旗振りの元間伐が進み始めたが、ほとんどの間伐が「切り捨て間伐」である。その他にも「巻き枯らし間伐」などである。これらの間伐現場では、生物の息づかいがほとんど感じられないという。生物をはぐくむ場という視点にたてば、森の間伐にも新たな意味があり、生物も好む森はさまざまで、多様な森が混在する森林管理が必要である。