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新聞からの木の豆情報

大径木の杉価格低迷

・読売新聞 2009/8/27

1990年代初め、スギ材の生産量日本一を誇る宮崎県で変化が起き始めた。1立方メートル当たりの価格は本来直径が大きくなる程高かった。それが、直径20~30センチを価格のピークとして、それ以上は太い程安くなるパターンが表れ始めた。そもそも、大径木のはっきりとした定義はない。だが、一般的に直径30センチより太い丸太を指すことが多い。伐採や搬出に手間と費用がかかる反面、一定体積当たりの価格は高く、収益率はよかった。しかし、今やそんな常識が覆り、価格がじわじわ下がっている。また、「吉野スギ」で有名な奈良県の吉野地方では、価格の逆転現象までは起こっていないが、大径木価格は低迷中である。このように大径木が必ずしも歓迎されなくなった原因には、「住宅の工法の変化で、大径木の需要が減ったからではないか」と分析されている。加えて、「九州の現象は他の地域に波及する可能性がある」と指摘されている。樹木というのは、伸び盛りの時期に、最も多く二酸化炭素を吸収する。樹齢15~40年の若齢林は1ヘクタール当たり3~5トンの二酸化炭素を吸収している。しかし、この吸収力は樹木の高齢化とともに減少し、樹齢80年以上の老齢林になると、ほとんどなくなる。なぜなら、高齢木は自ら葉を枯らし、枝を落とす。それらが腐ると温室効果ガスを出し、結局吸収力を相殺してしまうからだ。鹿児島大学の遠藤さんは、「国は伐採時期を先に延ばす長伐期化政策を進めるが、問題の先送りに過ぎない。温暖化対策の観点からも大径木の利用は重要。輸入材が多用される住宅の梁に、国産スギの大径木からとった材木を使うなど、需要拡大を目指すべきだ」と話している。

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