滋賀県西浅井町の塩津港遺跡から、平安時代後期(11世紀~12世紀末)の神輿のような小型神殿の一部とみられる欄干や屋根の装飾材が見つかった。現存する神社で最も古いものは平安時代後期に建立された京都府宇治市にある宇治上神社の本殿とされるが、神社建築部材としては、最古級という。欄干は長さ約84センチ。神殿の縁側の欄干の足下部分で、組立てのための束柱が2本残っている。本体部分は、縦横約70センチ程度で、神輿か祠、本殿内に置かれた空殿のような小型神殿と推測される。このほか、懸魚と呼ばれる十数センチ大の五角形の屋根飾りや、垂木なども見つかり切り妻屋根だったとみられている。塩津港遺跡は日本海側と奈良、京都を結ぶ湖上交通の拠点で、これまで神社の遺構や神像、木簡などが出土している。専門家は、「建築部材として平安後期のものが発見されたのは初めてだろう。神社建築が現物で確認でき、 学術的価値は高い」と話す。