世界自然遺産の南米ガラパゴス諸島の固有植物であった「スカレシア」の森を復活させる植林活動が広がっている。樹木のように育つスカレシアはキク科の植物で、ガラパゴス諸島で独自の種へと進化した。大きなものになると、幹は直径20センチ、高さは10メートルを超える。観光の中心地であるサンタクルス島ではかつてこのスカレシアが主となる原生林が4万ヘクタール程広がっていた。しかし、現在は農地開発などにより約1500ヘクタールにまで減った。さらに、残された原生林にもブラックベリーなどの外来植物の勢力拡大が迫っている。2007年から始まった植林活動にはこれまでに約400人が参加し、2008年からはガラパゴス国立公園局も作業に加わっている。スカレシアの苗以外にも、在来植物のペガペガやウナデガトなど5種類を移植し、2009年5月までにサンタクルス島内に約1000本植樹した。この植林活動の目的は、緑深い原生林の中をゾウガメがのし歩くこの島本来の「原風景」を取り戻すことである。植樹用の費用は、日本の参加者からの募金でまかなわれ、今年は10月までに5回植林をする予定だ。