v10.0
- ID:
-
43822
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0130
- 見出し:
- 東北ニュース
- 新聞名:
- 河北新報
- 元URL:
- https://www.kahoku.co.jp/column/kahokusyunju/20190126_01.html
- 写真:
- なし
- 記事
- 福島県飯舘村の佐須地区で一風変わった建物造りが始まった。現場に運ばれた材料は厚さ10.5センチ、幅18センチ、長さ4メートルほどの均一な角材。それぞれに彫られた溝を組み合わせる工法で、外壁がみるみる積み上がった。3月には地元の交流の家になるという▼「全て仮設住宅の部材です」と、立ち会った建築家の芳賀沼整(せい)さん(60)。東日本大震災の後、県内でログハウスを手掛ける建築業者5社と組み、独自工法の木造仮設住宅約600戸を二本松市などに建てた。避難者が去った後の再利用にも取り組む▼本拠は林業の本場、南会津町。製材所、工務店を営む兄の伸さん(62)らと長年ログハウスなど木造住宅を研究。原発事故の際、「ログハウスの特性を生かす仮設住宅を」と業界に呼び掛け、県から採用された。県産杉材を使い、温かみや風合いが入居者の評判に▼役目を終えた仮設住宅は県を窓口に、公共団体や企業などへ無償譲渡が進む。芳賀沼さんらの提案は、石巻市の支援NPOの事務所、鹿児島県沖永良部島のホテル、浪江町の宿泊施設、飯舘村の公営住宅などへの再利用に実っている▼木の優れた断熱性、耐久性に加え建築も容易で短期間。「何より人を和ませる場になる。地元林業の再興と併せ、資材を再利用できる建築の可能性を追求したい」
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