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- ID:
- 43573
- 年:
- 2018
- 月日:
- 1225
- 見出し:
- 氷見「アスナロ」神戸で世界一Xマスツリー 新たな ひのき舞台
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2018122302100018.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 昨年のクリスマスに神戸市内であったプロジェクト「世界一のクリスマスツリー」のために、富山県氷見市一刎(ひとはね)から切り出された「アスナロの木」。樹齢百五十年、高さ三十メートルの巨木の“晴れ姿”を地元も活動を支援して送り出したが、役目を終えた後の利用を巡って物議を醸す騒動に発展した。木はその後、どうなったのか。(向川原悠吾) 今月八日、神戸市中央区の生田神社で、真新しい鳥居と和船「伝馬船」が披露された。材料はアスナロの木。鳥居は高さ二・七メートル、幅三・三メートル。神社から「鳥居にできないか」と利用の提案が、プロジェクトの中心を担った株式会社「そら植物園」(兵庫県川西市)にあったという
伝馬船は、かつて氷見市内で使われていた。今回の船は全長約三・四メートル、幅一・一メートル。子ども二、三人は乗ることができる。氷見市唯一の船大工、番匠光昭さん(72)に、同社が制作を依頼した。番匠さんは「氷見と神戸のつながりになれるのなら」と春ごろに引き受けた。番匠さんは「水に浮かべたところに乗って楽しんでほしい」と希望する
船は「そら植物園」が所有し、イベントなどで貸し出していく。さらに、残りの木をまな板や直径三センチほどの球状の装飾品に加工。端材は出たが「使えるところは使った」という
プロジェクトは、神戸市なども入る実行委が阪神大震災の復興をうたい、開港百五十周年に合わせて神戸港に立てることを計画。同社が氷見市の山中で巨木を見つけた。市内では市民応援団が昨年十一月に送り出し式を開き見送った
クリスマスツリーとして神戸港に運び込まれた高さ約30メートルの巨木=2017年11月17日、神戸市中央区で写真 だが、インターネット上を中心に批判が噴出。「木がかわいそう」「人間のエゴで木が刈られた」との声が飛び交った。一部は鳥居にして奉納すると発表したが、それ以外の使い方が決まっておらず、中止を求める署名運動も起きた
石川県農林総合研究センター林業試験場によると、アスナロは富山、石川両県内に生えておらず、ツリーになったのはアスナロに似たヒノキアスナロ。アスナロは木材としてあまり使われないが、ヒノキアスナロは高級木材になる
試験場の千木容(せんぎよう)主任研究員もその後どうなるのか心配していた。三十メートルのヒノキアスナロから一・八立方メートルの材木が使え「伝馬船と鳥居は妥当な大きさでしっかり使ってくれた」と安心した様子。「神戸で植え替えるとか、むちゃなことも言われていたが、その後が決まったなら良かったし、良い木材なので端材も全部使ってもらえたら」と語る
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