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- ID:
- 43569
- 年:
- 2018
- 月日:
- 1225
- 見出し:
- 樹木の多様性、菌が守る…京大チームが解明
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- https://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20181223-OYO1T50004.html
- 写真:
- なし
- 記事
- 自然林で多様な樹木が混じり合って茂るのは、根に共生するカビやキノコの仲間(菌類)の働きが大きく関わっていることを実験で突き止めたと、京都大の研究チームが発表した。様々な条件の<ミニ森林>を作り、苗木の成長と土壌中の菌類の関係を調べる大がかりな実験の成果といい、森林環境や桜並木の保全などに役立ちそうだ
樹木には、マツのように同じ種類が茂って林を作るものと、サクラやカエデのように人工的に植えないと林を作らないものがあり、両者の組み合わせで多様な樹種の自然林ができる。しかし、なぜこうした違いがあるかは不明だった
京大の門脇浩明こうめい・特定助教(生態学)らは、マツやナラなどの根にはキノコをつくる「外生菌根菌きんこんきん」、サクラやカエデなどにはキノコを作らない「アーバスキュラー菌根菌」という菌類が多く付着していることに着目した
実験では、大学構内の農場に縦横1・2メートルの区画36か所を設け、菌根菌を持つ計8種の若木(高さ約30センチ)を30センチ間隔で植樹。その下に、芽生えたばかりで菌を持たない各種の苗木(同約5センチ)を1000本以上植え、約2年後に掘り出して状態を比較した
その結果、外生菌根菌を持つアカマツの下に植えたアカマツの苗木はよく成長したが、アーバスキュラー菌根菌を持つヤマザクラの下に植えたアカマツは赤く変色するなど、共生する菌の種類が合わないと、総じて成長が悪くなった
一方、ヤマザクラなどアーバスキュラー菌を持つ木の下に、同じ種類の苗木を植えると、多くが枯死した
外生菌根菌は菌糸を張り巡らせ、苗木の根を覆って保護しているが、アーバスキュラー菌根菌は根を覆わないため、苗木は成長した同種の木から病気をうつされやすいらしい
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