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- ID:
- 23380
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0203
- 見出し:
- 検討委、異例の経営拡大を提言 「分収林契約」解消が柱
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/tokushima/news/20120202ddlk36010619000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 10年度末で182億円の債務を抱える県林業公社(理事長、熊谷幸三・県政策監)の今後のあり方を協議していた検討委が、公社存続と経営規模の拡大を提言する報告書をまとめた。収益を公社と土地所有者が分け合う「分収林契約」の解消による経営改善が柱で、公社は報告書に沿い、今年度中に
具体的な改革プランを策定する。全国で林業関連公社の経営が問題となる中、積極策を打ち出すのは異例で、今後が注目される。【井上卓也】
林業関連公社は高度経済成長に伴う木材需要の高まりを背景に、造林推進のために全国各地で設立された。しかし、木材価格は約30年前をピークに下落傾向が続き、林業従事者の減少や高齢化などもあって多くが厳しい経営を迫られている。
神奈川、大分、岩手の3県で公社が解散。巨額債務があった滋賀県造林公社(大津市)とびわ湖造林公社(同)は存続に伴い、同県や大阪府など琵琶湖下流の9団体が計約937億円もの債権を放棄する事態になった。
県林業公社は1966年設立で、県や日本政策金融公庫からの借入金や未払い利息による債務がある。昨年2月に設置された検討委は専門家らで構成し、公社解散▽特定調停による債権放棄▽経営改善--などを想定して協議した。しかし、いずれの場合も分収林契約の採算性が経営のネックとなり
、分収林の買い取りによる契約解消を提言した。
分収林契約は、将来伐採する木材の販売収益を分配することを前提に、土地所有者が公社の森林使用を認めるもので、契約件数は10年度末時点で966件に上る。所有権移転が不要なため、かつては森林経営の手法とされたが、長いもので契約締結から40年以上が経過。所有者の死亡後の手続
きがうまくいかず、伐採に着手できないケースもある。
提言では、契約解消で25~28億円の効果を見込み、収益性の高い森林の所得などと合わせて2085年までに総額85~88億円の経営改善を見込む。同年には3~6億円の黒字を達成できるという。
林業は数十年規模の長期間の制度設計が必要で不安定な要素も多いが、公社を管轄する県林業振興課は「可能な対策から準備を進めたい」としている。
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