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- ID:
-
25556
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1017
- 見出し:
- 干ばつの影響で紅葉は色鮮やか、米国
- 新聞名:
- マイナビ
- 元URL:
- http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/nationalgeographic/2012/10/post-72.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- この夏は雨が少なく干ばつに苦しめられた米国だが、これにも1つは良い点がある。特に北東部で、素晴らしい紅葉が期待できるのだ。
ある程度の少雨には、アントシアニンの濃度を高める効果があると、シラキュースにあるニューヨーク州立大学(SUNY)環境科学森林学部のドナルド・J・レオポルド(Donald J.
Leopold)氏は指摘する。アントシアニンはトネリコ属の樹木、ヌマミズキ、ウルシ、さらには一部のカエデに見られる、赤や紫といった色合いを生み出すもとになっている天然色素だ。
「これまでに我々が確認できた限りでは、多くのアントシアニンを生成する能力を持つ樹木は今年、これまでにないほどの素晴らしい状態にあるようだ」と、レオポルド氏は語る。
米国北東部、さらには同国全域で2012年の紅葉がどれほど美しくなるかは、気温や降水量を含めた、今後数週間の天気にかかっている。
さらに、こうした紅葉がどれだけ長く持つかは、悪天候の有無による。例えば2011年はハロウィーンの時期に予想外の降雪があり、これにより米国東部の大部分では秋の紅葉シーズンが唐突に終わりを告げた。
「色づきがピークに達した後、紅葉した木の葉は5~7日間、木から落ちずに留まる。ただし豪雨と秒速20メートル強の風を伴う、非常に強い嵐が来た場合は別だ」と、レオポルド氏は説明する。
◆木の葉が色づく仕組み
毎年、昼間の時間が短くなって秋の訪れを告げると、木の葉はその色を変え始める。この変化が引き金となり、一部の樹木では窒素やリンなどの栄養素を回収した後、冬に備えて葉を落とす。
秋になると赤みがかった色素のアントシアニンの生成を始める樹木もあるが、その理由はいまだに完全には解明されていない。この化合物は樹木にとって、凍結防止、日除け、さらには虫除けの効果があるのではないかと考えられている。
黄色やオレンジ色、茶色の色合いを出す天然色素はカロテノイドと呼ばれ、木の葉に最初から存在している。光合成がストップし、カロテノイドを覆い隠している葉緑素の緑色があせた後になって初めて、その色が目に見える形で現れるのだ。
現在は赤色と黄色、両方のプロセスが本格的に進行している。レオポルド氏はさらに「どちらかと言えば、この秋のピークは1週間ほど早まるのではないかと思う」との見方を示した。「紅葉の始まる時期が早かったこと、最近になって夜がめっきり冷え込んできていることがその理由だ。米国北東部では、紅葉に
とって理想的な条件が整ったと言える」。
◆見事な紅葉が見られたロッキー山脈
レオポルド氏によれば、北東部以外の地域でも現在、紅葉は一際美しく色づいており、米国側のロッキー山脈もこうした地域の1つだという。
紅葉は「標高の高い場所では既にピークを迎えており、毎年見事な色づきを見せるアスペン(ホワイトポプラ)も、雨が少ない天候のおかげで今年は一際美しかったという印象だ」と、レオポルド氏は述べている。
一方、中西部はこの夏極度の干ばつに苦しんだ。「そもそも木の葉を持つ樹木自体がそれほど多くないので、他の地域と比べてあまり目立たない。中西部の紅葉は退屈なものになりがちだ」と指摘するレオポルド氏も、もともとは中西部の出身だ。
さらに、米国北東部に自生している種の紅葉を、他の地域で見られるケースも増えているとレオポルド氏は付け加えた。
「幸運なことに、米国北東部に自生している樹木のうち20種類を目にすることができる。これらの木々は紅葉を楽しむためだけに、米国全土に植樹されたものだ」。
Brian Handwerk for National Geographic News
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