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- ID:
- 25404
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1001
- 見出し:
- 敦賀「気比の松原」 松枯れ深刻
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20120928-OYT8T01489.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 約1万7000本の松林が広がる国名勝「気比の松原」(敦賀市)で近年、マツクイムシ被害や土地の富栄養化が進み、毎年数百本の松が枯れている。松原を管理する福井森林管理署(福井市)は今月、効果的な対策を進めるための現地調査を開始。今月発足した有識者らによる検討委員会での議論
を経て、来年2月頃までに基本方針をまとめる見通しだ。(藤戸健志)
気比の松原は東西約1キロ、幅約400メートルにわたって広がる国有林で、三保の松原(静岡市)、虹の松原(佐賀県唐津市)とともに日本3大松原に数えられる景勝地。一般的に海沿いではクロマツが松林を形成するが、気比の松原では67%をアカマツが占め、クロマツは30%しかないのが特徴。
福井森林管理署によると、1902年(明治35年)に約77ヘクタールあった松原は、戦後の宅地化などで32ヘクタールまで縮小した。その後も、松葉や枝が放置されることで土地の富栄養化が進み、本来は砂浜で育ちにくいアラカシなどの広葉樹が増加。マツクイムシ被害や雪による倒木などもあり、市民団
体などが毎年のように植林しているものの、衰退傾向に歯止めがかからないという。
抜本的な対策を進めるため、同管理署は9月、太さ3センチ以上の樹木の正確な本数や分布、地質や土壌など自然環境の調査を始めた。有識者や地元の環境市民団体の代表ら委員12人でつくる検討委は調査結果を基に、クロマツが中心に生える海沿いやアカマツが繁茂する場所など特徴に応じて
分けたゾーン別に、適正な本数や若木の植樹方法などの管理方針を定める。
検討委は27日に敦賀市内で初会合を開催。各委員は現地にも足を運び、昨年植えた若木約50本のうちほぼ半数しか残っていない様子のほか、枯死したマツなどを見て回った。
中島孝雄・同管理署長は「気比の松原は保安林であるだけでなく地元の憩いの場、観光名所でもある。広葉樹の増加を放置しておくとマツは減少してしまう。百年先を見据えた管理方針を決め、地元の皆さんとともに守っていきたい」と話している。
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