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- ID:
- 24738
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0709
- 見出し:
- 高い保水力 生物の宝庫
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001207090001
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 式年遷宮に使うヒノキを育てるばかりではない。大正末期から再生が進められる神宮宮域林は、いかに森林に人の手を加えることが重要かを物語っている。
明治維新で国に管理が移ったころ、宮域林は荒れ果て、五十鈴川は「暴れ川」だった。1918(大正7)年の集中豪雨で、内宮門前のおはらい町は床上2メートル超の浸水被害を被った。
森林の保水力が低く、雨はそのまま流れた。1日350ミリの雨でも大洪水になったという。それが、今、1日に400~500ミリ程度降っても被害は出ない。
神宮司庁営林部によると、宮域林はヒノキと落葉広葉樹の混合林。ヒノキの光合成を促し成長を早めるため、間伐の間隔を広くした結果だ。落ち葉が腐植土になって保水力を高め、生物の宝庫にもなった。
草木やシダなど植物は約850種に及ぶ。10~14年前の調査では国内で確認されている約4分の1の鳥類141種が生息していた。なかには絶滅危惧種と準絶滅危惧種の計11種もいた。
約30年間、林野庁で国有林の仕事をした金田憲明・営林部長(64)は言う。「200年先の将来まで見越して森林を維持する計画は例がありません。それも90年前に立てられたとは驚くばかりです」
高度成長期、木材不足から外材に頼り、林業は生産性を優先した。そんな風潮にも左右されなかった宮域林の評価は、近年高まっている。
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