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- ID:
- 24550
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0614
- 見出し:
- スギの生産最高 価格最低に悲鳴
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000001206130002
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 2011年の県産スギ丸太生産量が144万2千立方メートルと過去最高を記録したことが、農林水産省の統計でわかった。一方で、超円高で輸入材が価格面で優位になるなどし、国産材の価格は過去最低水準にまで落ち込み、生産者の経営を苦しめている。
宮崎の生産量は1991年から21年連続で全国1位。県の生産量は増加傾向にあり、11年は10年(137万4千立方メートル)から4・9%増え、2位の秋田県(84万4千立方メートル)の約1・7倍にのぼった。ヒノキなども含めた木材全体の生産量は163万2千立方メートルで、北海道(343万7千立方メ
ートル)に次ぐ全国2位。
県山村・木材振興課によると、宮崎は温暖な気候で成長が早く、戦後の拡大造林期に植林したスギが40年前後経って伐採期を迎えていることが背景にある。加えて、県内では伐採や搬出の効率を高めるため高機能機械の導入や作業道の整備が積極的に進められてきた。作業道の多さを示す路網密
度は全国一(1ヘクタール当たり36メートル、全国平均21メートル)となっている。
拡大造林期は国の政策のもと、50年代後半から約20年間、日向市や諸塚村、椎葉村など県北部を中心に大量に植林された。同課によると、当時は山林で生計を立てる目的のほか、家屋建築に大量の資材が求められた背景もあった。
だが、国産スギの価格は80年をピークに低下。林野庁によると、北米などから入るより安い輸入材に押され、全国の平均価格は80年の1立方メートル3万8700円から98年には2万円を割った。11年には1万2300円まで落ちた。価格下落について同庁の担当者は「円高で国内経済が低調になり、住宅
の着工などが少ないためではないか」と話す。
県産スギの価格は、79年の1立方メートル約3万5千円がピークだったが、今年5月には7591円(県森林組合連合会調べ)と過去最低水準まで落ち込んだ。
県山村・木材振興課によると、採算ラインは1万5千円前後という。担当者は「超円高の影響で外材が安く入り、結果として国産スギがだぶつき、価格が落ちているのではないか」と分析。国、県とも円高の悪影響を指摘している。
◆「林業では食えぬ」
日向市と美郷町に合わせて約200ヘクタールの山を所有し、県内で生産量が一番多い耳川広域森林組合の理事を務める佐藤正行さん(67)は、「今切っても赤字になって損をする。間伐だって国の補助金をもらってなんとかとんとんになる程度」と現状を語る。
佐藤さんは林業を始めて約50年。約100ヘクタールのスギ林があるが、価格の低い木材の生産には踏み切れず、山の環境を保全するために間伐した分を出す程度にとどめている。生計は農業やシイタケ栽培でまかなう。「林業はもう俺の代で終わり。山では食っていけないから」と話した。
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