v10.0
- ID:
- 。
23174
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0114
- 見出し:
- 麻績・福満寺の「びんずる尊者像」、貴重な平安末期作か
- 新聞名:
- 信濃毎日新聞
- 元URL:
- http://www.shinshu-liveon.jp/www/topics/node_206305
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 東筑摩郡麻績村の福満寺本堂にある「びんずる尊者像」が、平安時代末期に作られた可能性が高いことが、専門家の調べで分かった。像の背中に「応保元年」(1161年)の年号があるのを文化庁や村教育委員会が確認。専門家によると、平安時代の作例は珍しい上、同時代の年号の銘文入りはこれ
まで例がないといい、文化財として適切な保存が必要と指摘している。
文化庁文化財部の川瀬由照調査官らが昨年7、11月に別の文化財の調査に訪れた際に確認した。像は木製で高さ30センチほど。頭巾をかぶり、座った格好で台座に乗っている。川瀬調査官によると、国重要文化財指定されている平安時代作のびんずる尊者像は、京都・東寺の平安前期(9世紀)のも
のなど3体あるが、平安時代の年号があるのは「極めて珍しく貴重」という。年号とともに「麻績」の銘もあり、「もともとこの地域にあったであろうことが分かり、興味深い」とする。
仏像彫刻に詳しい清泉女子大の山本勉教授(日本彫刻史)によると、素朴な作風で、胸が薄く奥行きがないなど立体感があまりなく、衣紋(えもん)を深く刻んでいない点など平安時代の特徴が見られる。一方、脚の部分は立体感があり、後世に付け加えられたとも考えられるという。同教授は「かなり傷んで
いるようなので適切な保存が望まれる」と指摘している。
塚原勝幸・村教育長は「福満寺を管理する地元地区の意向を聞き、修復保存するなら支援していく。村文化財保護委員会の意見を参考に文化財指定も検討したい」と話している。
福満寺は849年の開山と伝わる天台宗の寺で、本尊の薬師如来や日光・月光菩薩(がっこうぼさつ)像など仏像5件が国重文に指定されている。薬師如来のほか木造千手観音座像(村宝)も平安時代末の作とされる。
..