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- ID:
- 23909
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0330
- 見出し:
- 手入れで松林元気に ショウロが一定量発生
- 新聞名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=228949
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 県林業試験場(和歌山県上富田町生馬)は、松林の落ち葉かきなど手入れすることで、キノコの一種ショウロが毎年一定量発生することを確認した。松林の健全度の指標として、食用の高級キノコ、ショウロに注目し、2007年度から5年間、白浜町の中大浜で地元住民の協力を得て実験を続けた。試験場
は「実験は本年度で終わるが、今後も地元で整備作業を続けてもらいたい」と話している。
試験場ではショウロ菌を付けたクロマツの苗木を鉢で栽培したり、松林に木炭や胞子液をまいたり、さまざまな実験を繰り返し、ショウロ定着に有効な方法を見つけた。
中大浜の松林では試験区域(1200平方メートル)を設定し、ショウロの成長を妨げる腐葉土や落ち葉を除去するなどして環境を整えた。地元の住民や小学生も手伝った。
この結果、08年度にショウロの本格的な発生(計53個)が確認され、09年度は200個、10年度は205個、11年度も137個と毎年一定量発生するようになった。
このほか、根の成長にも大きな差が出ている。整備した区域では無整備の区域より、細かい根を多く伸ばしショウロの菌根が多数見られるようになった。
中大浜は延長約1キロ、面積5・77ヘクタールある。試験場では地元住民らによる整備の継続に期待しており、今後も協力していく方針。
ショウロは直径2、3センチの球形で、松の根と共生するのが特徴。クロマツからアミノ酸や糖類などの養分をもらい、逆にクロマツに水分とミネラルなどを与えて元気にしていると言われる。
松林は潮風を防ぐ能力も高い。広葉樹林の約10倍とされ、200メートルの奥行きで97%を防ぐことができるという。
【整備された松林の根(左)と未整備の根。整備された所では根の先にショウロの菌根が見られる】
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