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- ID:
- 23902
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0330
- 見出し:
- 上高地のケショウヤナギ減少 県版レッドリスト準絶滅危惧種
- 新聞名:
- 信濃毎日新聞
- 元URL:
- http://www.shinmai.co.jp/news/20120330/KT120328FTI090003000.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 本州では松本市の北アルプス・上高地と波田にしか分布せず県版レッドリストで準絶滅危惧種に指定されているケショウヤナギ(ヤナギ科)が上高地周辺で減少していることが29日、同地域を管轄する中信森林管理署(松本市)の調査で分かった。同管理署は保全対策として31日、ケショウヤナギが最も分
布する明神から徳沢までの梓川左岸一帯42ヘクタールを保護林に新たに指定する。
同管理署によると、明神に設けた500平方メートルの範囲の調査地点で1989年は15本あったケショウヤナギが2010年の調査では3本に減少。その代わり、以前は無かったエゾヤナギが10本生えたり、ハルニレが1本から4本に増えたりした。
上高地周辺のケショウヤナギの調査を長年続ける高知大理学部の石川慎吾教授(植物生態学)によると、ケショウヤナギは乾燥に強く、他の植物が生えにくい河原の砂れきで生育するのが特徴。土壌が安定するとハルニレなどが生え始める。増水でハルニレなどが流され、再びケショウヤナギが生えると
いう循環を繰り返すという。
だが近年、登山道や下流の観光施設を守るための護岸工事などによって河原の土壌が安定。同管理署は工事による土壌の安定化がケショウヤナギ減少の一因になっているとみている。石川教授は上高地一帯で全体的にケショウヤナギが減少していると指摘し、「自然のままの上高地に保つことが大切」
と訴える。
明神から徳沢までの一帯は中部山岳国立公園の特別保護地区で、自然公園法で無断での植物の採集や土地の形状変更が禁じられている。許可を得れば護岸工事をすることができるが、保護林指定で同管理署が一帯を強く規制し、保全する狙い。
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