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- ID:
- 23715
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0306
- 見出し:
- 能美の技、宮城の幼稚園再建 寺守った巨樹使い
- 新聞名:
- 富山新聞
- 元URL:
- http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20120306101.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 東日本大震災の津波で流失した宮城県の2幼稚園を、能美市の建設会社中東(ちゅうと う)が再建する。建材として同県南三陸町の寺院を津波から守った巨大な杉を利用する計 画で、5日までに約200本が能美の同社工場に運び込まれた。同社は宮城県内の出張所
が被災し、能美の工場では同町出身者が勤務している。同社は「園児の笑顔を取り戻した い」と、7月の完成を目指す。
中東が受注したのは、南三陸町の「あさひ幼稚園」と、山元町の「ふじ幼稚園」を再建 する日本ユニセフ協会の事業。あさひ幼稚園の園児は全員無事だったが、ふじ幼稚園の園 児は8人が津波の犠牲になった。サッカー日本代表で主将を務める長谷部誠選手が昨年1
2月、再建費として4500万円を寄付して話題になった。
建材となる杉は、南三陸町の大雄寺(だいおうじ)の参道に並んでいた樹齢約200年 、直径1メートル以上の巨樹。津波で多くが立ち枯れした。板材を張り合わせる集成材製 造で独自の技術を持つ同社は、腐敗した内部を取り除き、強度の高い集成材として建材に 利用する。
大雄寺は津波で甚大な被害を受けず、地元では「杉並木が守ってくれた」と言われてい るという。その杉で園児を守ってもらいたいと、同寺が日本ユニセフ協会に提供。中東は 、できる限り建材として生かし、足りない場合は南加賀の杉を活用する方針だ。
東日本大震災では、宮城県富谷(とみや)町にある中東の東北出張所も震度6弱の揺れ に襲われた。人的被害はなかったが、ライフラインがしばらく断たれ、社員とその家族の 安否確認に腐心した。能美の工場に南三陸町出身者が勤務していることもあり、同社は園
舎再建を「特別な仕事」として受け止めている。
両園舎は高台に場所を移して再建される。小坂勇治社長は「復興の役に立ちたい。園児 の笑顔を願って取り組む」と話した。
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