v10.0
- ID:
- 51762
- 年度
- 2011
- 月日:
- 1003
- 見出し:
- 被災松コカリナ
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20111003-OYT8T00151.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 震災で全焼した石巻市立門脇小の卒業生に2日、近くで焼け残ったアカマツで作った楽器「コカリナ」が贈られた。卒業生らはアカマツの周りを囲んで「ふるさと」を演奏し、街の再生を誓った。
「被災松コカリナ」と名づけた楽器の製作は、コカリナ演奏の第一人者で埼玉県飯能市の黒坂黒太郎さん(62)が企画した。コンサートで約300回、石巻市や周辺自治体を訪れたことのある黒坂さんは4月、焼け落ちた校舎を目にして、「子供たちは思い出の品を失ったのでは」と心を痛めた。同小のプール
脇で黒こげになりながらも真っすぐ伸びるアカマツに気付き、製作を思いついた。
ハンガリーの民族楽器コカリナは円筒に六つの穴を開けた木製の管楽器。黒坂さんらは7月、児童の成長を見守ってきた樹齢80年のアカマツを伐採し、秋田県の木工職人に製作を頼んだ。
先月下旬になって180本が完成。黒坂さんらは2日、門脇小近くの西光寺で復興祈念のコカリナコンサートを開き、参加した卒業生19人にコカリナを贈呈した。
コンサートでは、卒業生の一人で、震災で父を亡くした佐藤真歩さん(13)が、全国から集まった愛好家の輪に加わり「ふるさと」や「浜辺の歌」を演奏。その後、卒業生らは伐採されたアカマツの周りでコカリナを奏でた。
黒坂さんは「震災を乗り越えたアカマツのエネルギーと演奏者の思いがこもった特別な音色だった」と感慨深げ。佐藤さんは「温かい音色に感激した。アカマツが楽器となってよみがえったように、力を合わせて街を再生していきたい」と話していた。
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