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- ID:
- 51303
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0817
- 見出し:
- 紀南各地で盆行事 先祖の霊を供養
- 新聞・サイト名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=215868
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 和歌山県南部の各地で13~15日、故人の霊を慰めるさまざまな盆行事が営まれ、地域住民や帰省した人らが参加した。
夏の夜空に炎の弧 すさみ町佐本
すさみ町佐本地区の佐本川で13日夜、220年以上続く「佐本川柱松」(保存会主催)が営まれた。柱松の先端に向けて次々と投げ上げられるたいまつが、夏の夜空に炎の弧を描いた。地元住民でつくる保存会の主催は最後とあって、例年より多めの人が訪れた。
高く掲げた丸太32
件の先に付けた松の枝と稲わらで作った巣に着火するまで、火を付けたたいまつを投げる行事。参加者は「頑張れ」の声援を受け、高さ16メートルの巣に向かって次々と投げた。巣にたいまつが入ると、多くの観客から歓声と拍手がわき起こった。巣は燃え上がり、仕込まれた花火が音を立てて上がった。地元
や大阪府からキャンプに来た子どもらも10メートルの柱松で行事に参加した。
この行事は江戸時代後期の1787(天明7)年と翌年に疫病が流行し、多くの人が死亡したことから、弔いと無病息災祈願のために始まったとされている。1990年代からは柱松保存会が主催してきたが、材料と担い手不足が深刻化し、続けるのが難しくなり、今年を最後に解散することになった。
そのため、佐本地区活性化活動に取り組む摂南大学(大阪府寝屋川市)のクラブ「ボランティア・スタッフズ」部員ら学生や町職員ら地域外の若者が、地域とともに継承していく新たな方法を探るため、初めて運営を手伝った。保存会会員から指導を受け、早朝から柱松の先に付ける巣や、投げるたいまつ作り
などを手伝った。
大学生はこの日、柱松を盛り上げようと、近くの旧佐本小体育館で「夏祭り」を企画。大阪府からキャンプに連れてきた小学生約70人や地元小学生、住民が歌やゲームで交流した。
摂南大3回生で「ボランティア・スタッフズ」リーダーの今田誠さん(21)は「柱松の巣作りは難しかったが、地域活性化のため、来年以降もお手伝いできるよう続けていきたい」と話し、保存会の浦愛一郎会長(43)は「保存会としての運営が最後になるのは寂しいが、多くの人に来てもらえ、盛大にできた。今後
は町全体で考えて、何とか続けていければ」と期待を寄せた。
葦舟で震災犠牲者追悼 田辺・本宮大社
田辺市本宮町の熊野本宮大社旧社地大斎原(おおゆのはら)前の熊野川河川敷では15日、精霊万灯祭が営まれた。精霊舟とともに、東日本大震災の犠牲者追悼の意味を込め葦(あし)舟も流した。
流したのは団体「くまの葦舟プロジェクト」(高栖浩史代表)が5月に主催したイベントで完成させた長さ2・8メートル、幅80センチの葦舟。団体は、水量が減っている熊野川の現状を多くの人に知ってもらい、かつてのような「川の参詣道」の復活につなげたいと昨年から葦舟作りに取り組んでいる。
葦舟には参列者が「みんなの笑顔一日も早く」「皆さまが少しでも心安らぎ幸せになりますよう」などと思い思いのメッセージを書いたボードを乗せ、へさきに九鬼家隆宮司(55)が「笑顔日本」と書いた駒札を掲げた。神事の後、関係者が精霊舟とともに葦舟を川の中を引いて流した。
高栖代表(43)は「東日本大震災犠牲者の鎮魂と、被災地の一日も早い復興を願う皆の思いが伝われば」と話し、九鬼宮司は「東日本大震災では多くの人が亡くなった。再生と復活、元気のある日本になることを祈りたい」と述べた。
会津川(田辺)で精霊流し
田辺市の会津川河川敷で15日、会津町内会主催による精霊流しがあった。
2003年から町内会主催で実施しており、同市高雄1丁目の切戸橋近くの河川敷では、ちょうちんなどで飾られた精霊舟が持ち込まれ、ひもで結んで100メートルほど流した後、回収した。
先祖の仏送りの場所も設けられ、集まった家族らは鐘の音が響く中、線香を立て、静かに手を合わせていた。
同日は扇ケ浜近くの戎漁港など市内各地でも精霊送りの行事が営まれた。
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