v10.0
- ID:
- 49551
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0126
- 見出し:
- 木材は敷居と垂木 - 高級材のヒノキ
- 新聞・サイト名:
- 奈良新聞
- 元URL:
- http://www.nara-np.co.jp/20110125094815.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 邪馬台国の有力候補地とされる桜井市辻の纒向(まきむく)遺跡でモモの種などと一緒に見つかった3世紀中ごろの木材が、建物の敷居や垂木(たるき)であることが、市教育委員会などの調査で分かった。王宮中枢部にあった建物の一部とみられ、当時では珍しいヒノキが使われていた。一帯の特殊性がさ
らに強まったと言えそうだ。
板は長さ約70センチ、幅約20センチ。神戸大学大学院の黒田龍二准教授(日本建築史)が用途を検討し、敷居と結論づけた。柱の形に合わせて丸く加工され、扉の両側に付ける板「方立(ほうだて)」を留めたとみられる2本の溝があった。
敷居から推定でぎる扉の幅は約30センチと小さく、倉庫の可能性があるという。先端がヘビの頭のように加工された棒状の木製品は軒の垂木と判断した。
出土した穴の北側では3世紀前半の大型建物跡が見つかっており、大きさの異なる4棟が軸線をそろえて東西に並ぶ。
黒田准教授は「4棟のいずれかだった可能性が高く、非常に興味深い」と話している。
材質を分析した金原正明・奈良教育大学教授(環境考古学)によると、当時の纒向遺跡周辺は照葉樹林で、ヒノキは手に入りにくい高級材だった。加工も難しく、「鉄器が使える工人集団の存在が考えられる」と言う。
同遺跡では、古墳の周濠(しゅうごう)などでもヒノキ製の木製品が出土。市教委の橋本輝彦・文化財係長は「弥生時代に比べてち密な建造物を造る技術が纒向遺跡の時期に確立したのではないか」と話している。
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