v10.0
- ID:
- 46425
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0615
- 見出し:
- 政官業の癒着構造には踏み込めず 政治ショーに終わった事業仕分け-2
- 新聞・サイト名:
- ダイアモンド・オンライン
- 元URL:
- http://diamond.jp/articles/-/8426?page=2
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
ほとぼりが冷めた今、その残党がよみがえっていた。解散を命じられた財団法人林業土木コンサルタンツ。その北海道支社は、事務所も人材も電話番号さえも引き継ぎ「株式会社」に。一緒に談合を断罪された関連企業の株式会社森林テクニクスは、同財団から「四国や青森の支社や30人の人材を引き
受けた」(同社担当者)。
当時159人、現在92人もの林野庁OBを抱える旧林野弘済会も、名を変えただけ。緑資源も他の独法が継承し、年300億円の国費が投入されている。単に看板を掛け替えただけだ。
それだけではない。事業仕分け第2弾で俎上に載せられた国有林野事業のうち、収穫調査業務では、旧林野弘済会と日本森林技術協会が「指定調査機関」に指定されていた。指定調査機関とは、法律に基づいて指定される調査機関だ。
談合発覚の07年に発注方法を随意契約から一般競争入札に切り替えたものの、公益法人に限定した入札参加要件は変えなかった。結局、当然ながら、談合法人を含む6公益法人が指定され、収穫調査業務の83%を旧林野弘済会が、4%を日本森林技術協会が事実上独占している。いつの間にか合
法的に事業を“安定受注”する仕組みが構築されていたのだ。
旧林野弘済会は素材検知業務でも97%を受注。林野庁のほか、森林総合研究所、農林漁業信用基金など多数の独法から毎年合計50億円以上の公金が流れ込む。日本森林技術協会の収入の公金依存度は08年度には71%だ。
こうした既得権益死守の仕組みを明らかにしなければ、事業の仕分けなどできない。冒頭のとおり、官僚が一見、厳しげな事業仕分けの決定にほくそ笑むのも当然だ。
早くも癒着構造に取り込まれた民主党
民主党がこうした“癒着事業”の仕分けに腰が引けていたことは、社団法人全日本トラック協会(以下、全ト協)の例で明らかだ。
全ト協は、都道府県ごとに設けられたトラック協会に各都道府県から交付される年間約180億円の「運輸事業振興助成交付金」から43億円を「上納」させるという呆れた資金操作を行っている。
この交付金とは、「以前は自治事務次官の通達で国が都道府県に命じて出させた」(国土交通省担当者)ものだ。驚いたことに、昨年12月に総務副大臣通知となり、鳩山政権で閣議決定された。官僚7人を厚遇で天下らせる公益法人に、民主党政権がすでに取り込まれていたのだ。
セミナーや苦情相談などの交付金事業に、評価者からは「こんなことは都道府県でやっている」と批判が噴出した。だが、肝心の評価結果はというと、「見直しを行う(透明性の確保)」と生ぬるい。
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