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- ID:
- 45729
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0420
- 見出し:
- 立松さんの遺言~ 「石油に頼らない」発刊
- 新聞・サイト名:
- 北海道新聞
- 元URL:
- http://blog.hokkaido-np.co.jp/ten/archives/2010/04/post_408.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 「石油に頼らない 森から始める日本再生」が出来上がりました。
木のぬくもり、森のにおい。私たちは、自然の中で生きていますが、林業は長い低迷の中にあり、山や森は荒れたままでした。地球温暖化の問題が深刻化して、脱石油の有望株として森が見直されています。
昨年9月、「石油に頼らず、森林(もり)に生かされる日本になるために」という提言が発表されました。養老孟司さんやCWニコルさんらがメンバーの「日本に健全な森を作り直す委員会」がまとめました。この提言を受けて、民主党政権の林業支援も動き出しているそうです。
こうした森再生に向けた動きをまとめたのが、この本です。「林業が新政権のテーマになる」(天野玲子さん)、「石油がなくなるまでにやるべきこと」(養老さん)、「林業国家への基礎づくり」(梶山恵司・内閣審議官)などの提言が収められています。
今年2月8日に63歳で急逝した立松和平さんの原稿もあります。
「森―日本の文化を支えるこころの器として」という21ページ分の文章です。昨年12月9日に出されたそうです。立松さんの絶筆のひとつといえるでしょう。
立松さんは、法隆寺をつくった森の文化について書いています。
「法隆寺に使われている木は、樹齢1200年くらいのヒノキだそうです。実に2500年目に生きていた木ということになります。いまでも、プーンとヒノキの匂いがすると言います」
法隆寺のそばにあった豊かな森が、日本の文化を育て生き続けているというのです。
本の「おわりに」で天野さんは「この原稿がまさか立松さんの遺言になるとは思いもしなかった」と、その死を悼んでいます。
「法隆寺は1300年の歴史を伝承し、伊勢神宮は20年ごとに建て替えられて、建築の技術を未来に伝えている。立松さんはこれを知らせ、<誇りを持って日本林業を伝承してゆこう>と、日本人に提案されたように思います」
話題の多い本です。現在、全国新聞社出版協議会の加盟社に共同出版の要請をしています。道新生まれの森の本が、各地で大きく育ってくれたら、うれしいですね。
ふるさとを、読もう!(全国新聞社出版協議会の標語)
4月19日 <おくやみ> ダーウィン(1809-1882) イギリスの博物学者
「これほど多くの証拠があっては、人類と他の動物とが共通のものから進化したものであることを、どうしても認めざるをえない。この断定に異議をとなえるのは、もっぱら私たちの生来の偏見と、また私たちの先祖が神に近いものから出たととなえた慢心のためである」(人類の由来)(桑原武夫編「一日一言」より)
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