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- ID:
- 46316
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0607
- 見出し:
- 和歌る?紀になる!:樹木医も都市集中化 「木の国」なのに10人…
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20100606ddlk30040242000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
◇「木の国」なのに10人、全国最低レベル--公園少ない?学校ない?
病気などで弱った木を助ける「樹木医」。林業が盛んで「木の国」ともいわれる和歌山県内には、大勢いるのではないか。そう思われそうだが実は10人だけ。全国で2番目に少ない。森に覆われた世界遺産・熊野古道でも知られる県で、木のスペシャリスト・樹木医が少ないのはなぜだろう。【久木田照子】
今年4月、和歌山市の古寺・紀三井寺で、かつらぎ町の樹木医、浦嶋清さん(74)が桜の老木を“治療”した。幹の傷んだ部分をチェーンソーで切り落とし、切り口に殺菌剤を塗る。根元には土壌改良材を入れて土に空気を含ませ、木が呼吸しやすい環境を整えた。
木のどこがなぜ傷んだのか。どんな治療が必要か。浦嶋さんの言葉は止まらない。県内2人目の樹木医となって約20年。木への情熱が伝わってくる。その浦嶋さんが「和歌山の樹木医の数は全国で最低レベル。もっと増えてくれれば」とつぶやいた。
紀州材ブランドでも知られる県。面積に対する森林の割合を示す森林率は77%(07年度林野庁調べ)で、東京(36%)や大阪(31%)の2倍以上。木が多い県といえる。
一方、樹木医の認定機関の財団法人・日本緑化センター(東京都)によると、全国の樹木医は1801人(09年末現在)。都道府県別で最も少ないのは高知(7人)で、和歌山(10人)、長崎・福井(11人)が少ない。多いのは、順に東京(207人)、神奈川(126人)、兵庫(102人)--と都市圏が続く。造
園業者や公務員が多いが、都市コンサルタントや大手建設会社や住宅メーカーの社員らさまざまな職業の人がいる。
なぜ、木が多い地方で樹木医が少ないのか。「日本樹木医会(東京)に尋ねると、「樹木医は、人との接点が多い木を扱う仕事が多い」。寺や神社にある古木、公園の木や街路樹。県内にはそうした樹木が少ないだろうか。しかし、四国や山陰などと街の状況は似ているはずだが、樹木医の数には開きが
ある。
同センターに重ねて聞くと、「樹木医の養成機関がない点も影響しているのでは」。認定試験の受験資格などを得る勉強ができる大学などは全国に約40校あるが、県内にはない。社員の受験が増えている大手建設会社などが大都市に集中することも、関係するという。
しかし結局、決定的な理由ははっきりしない。同センターは今後、認知度の向上を課題に据え、「樹木医に合格すれば終わりでなく、さらに研究を積む支援に力を入れたい」としている。
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■ことば
◇樹木医
財団法人・日本緑化センター(東京都)が91年に認定を始めた。センターの試験に合格後、研修と面接審査を受けた人が登録される。受験できるのは、造園業に7年以上携わった人や、養成機関に認定された大学などで学んだ人など。木の生態や土壌、気象など幅広い知識、病虫害や障害を取り除くための判断力と技術が求められる。09年は受験者481人に対し合格者118人。
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