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- ID:
- 48284
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1021
- 見出し:
- 推定樹齢400年 県最大のトチノキ、朽木で発見
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/shiga/OSK201010200153.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 高島市朽木の安曇川源流域で、県内最大のトチノキの巨木が見つかった。天然林が残る一帯では2年ほど前から伐採が進んでいる。琵琶湖最大の水源である安曇川の涵養(かんよう)林を守ろうと、現地調査した地元住民や専門家らは県に保護を求める要望書を提出。県も対応を検討する姿勢を示し
た。
今月9日、地元の「トチ巨木観察会」の青木繁さん(58)らが、安曇川支流から数キロ沢を登った標高約570メートルの斜面で見つけた。高さ22メートル、幹周り7.2メートル、推定樹齢400年。数キロ南で14年前に見つかった7.0メートルを上回った。沢を隔てた斜面にはこれらを上回る太い切り株も確
認した。
青木さんらによると、伐採は2年ほど前から始まり、幹周り3メートル以上の巨木は安曇川支流の北川で約40本、針畑川で11本伐採されていた。麻生川と安曇川本流を合わせた4流域、数十平方キロには150本近くの巨木が点在し、半分以上が伐採の危機にあるという。
背景にトチノキの需要増がある。テーブルなどの家具に加え、近年は住宅リフォームの床材として人気がある。大半は民有林にあり、森林法で伐採前の市町村長への届け出義務があるものの、売買は自由だ。
所有者は高齢化が進み、地元の集落を離れた不在地主も少なくない。「山に愛着はあっても、関心が薄れていくのは仕方がない」と、天然林の保護を訴える地主の一人、松原勲さん(68)は言う。「民有林での売買は自由。『売るな』とは言えない」
「近畿の水がめ」琵琶湖に流入する河川の中で、安曇川は突出した水量を供給していることが、京都精華大の山田国広教授(環境マネジメント)らの調査で徐々にわかってきた。主な28河川について調べたところ、安曇川からの流入量は毎秒16.57立方メートル。全体の4分の1を占め、2位の姉川(10
.37立方メートル)、3位の野洲川(5.99立方メートル)を大きく上回った。安曇川からの流入は年間を通して安定しており、雪解け水は琵琶湖の底に潜り、湖水の酸素循環にも寄与している。
川を育んできたのが、浸透しやすい土壌をつくり、雨水をため込む森だ。「安曇川水系山林の保水力は、想像以上に大きい」。山田教授は言う。
青木さんら山林保護を求める地元住民らは15日、県庁に嘉田由紀子知事を訪ね、京都大の河野昭一名誉教授(植物学)ら学者も加わった33人連名の山林保護の要望書を手渡した。「『琵琶湖森林づくり県民税』の活用など、緊急措置を取ってほしい」と早期の巨木売却防止策を求め、県は「高島市な
どと協議して考えたい」と答えた。
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