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- ID:
- 47749
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0916
- 見出し:
- 赤く色づく鳥海山…紅葉ではなく食害 各地でブナ変色
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/yamagata/TKY201009140438.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 鳥海山(標高2236メートル)の中腹が赤く色づいている。随分早い紅葉のようだがそうではない。実はウエツキブナハムシがブナの葉を食べて枯らす食害で、ブナ林全体が変色したためだ。庄内森林管理署(鶴岡市)によると、「ブナの葉枯れ」とも呼ばれる食害は、月山などの庄内地方で2007年ごろから
拡大し、内陸にも及んでいる。今年は特に被害が大きいという。
庄内平野から見る鳥海山は山頂付近は緑色なのに、ふもとから中腹にかけての広い範囲が赤く染まっている。山岳道路を5合目付近まで上がると、ブナ林は真っ赤だ。落葉は枯れて茶色い。
庄内森林管理署の庄司友治流域管理調整官は「ウエツキブナハムシが葉を食べたのが原因だ」。鳥海山で初めて確認した08年の被害は標高600~700メートルで帯状に見られたが、今年はブナが生える限界の1500メートル付近まで広がっている。「この夏の暑さで虫の活動が上まで広がったのでは
ないか」という。
東北森林管理局朝日庄内森林環境保全ふれあいセンターはホームページでウエツキブナハムシの観察日記を公開している。庄内では07年に鶴岡市の月山新道や湯殿山周辺で大発生し、年々被害が広がりつつある。昨年は長井市、今年は小国町でも被害が出た。
ウエツキブナハムシは体長6.5ミリ程度。落ち葉の下などで越冬した幼虫は5~6月にさなぎになり、6~7月に羽化して成虫になる。幼虫も成虫もブナの葉を食べるが、木を枯らすことはない。しかし食害のために通常の落葉時期(10月ごろ)よりも早く葉が落ちてしまうという。
山形大農学部の小山浩正教授(森林生態学)によると、ウエツキブナハムシが増えると天敵の菌も増える。大発生と収束を繰り返しており、自然のリズムの一つという。小山教授は「秋に本来黄色くなる黄葉を楽しめないのは残念ですが、木が枯れるわけではないのであまり深刻にならず推移を見ていけばい
い」。
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