v10.0
- ID:
- 47673
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0910
- 見出し:
- 民主党代表選 札幌で最後の立会演説会 菅直人が語ったすべて
- 新聞・サイト名:
- 北海道365
- 元URL:
- http://www.hokkaido-365.com/news/2010/09/post-1254.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 民主党は、9日午後3時から札幌市中央区の大通公園で、代表選(14日投票)の立会演説会を行った。立会演説会は、東京、大阪に続く3回目で札幌が最後。代表選に立候補した小沢一郎前幹事長と菅直人首相が、1万人以上の聴衆の前でそれぞれ15分ずつ演説した。
以下、菅首相の演説。
札幌の皆さん。本当に多くの皆さんがこの民主党代表選の立会演説会にお集まりをいただいたことを改めて、私、菅直人からもお礼を申し上げます。皆さんどうもありがとうございます。
いま日本は本当に大変な状況にあります。この北海道も、この札幌も、先ほど私の仲間が電話を掛けてくれました。『札幌は賑やかに見えるけれども、老舗の個人商店が次々に閉店に追い込まれている。個人の消費が伸びないからお店もやっていけなくなっている。何とかしなければこの札幌もどんどん活気
を失うから、菅さん頑張ってよ』、こんな声をいただきました。
この、昨年の9月に政権が誕生して私が一番力を入れてきたことは新成長戦略。いかにして20年あまり続く日本のこの低迷を脱するか、いま、この新成長戦略の設計図ができあがり、きょう午前中、新成長戦略実現会議というものを立ち上げ、いよいよ実行する段階に来たということを、まずもって皆さんにご
報告を致したいと思います。
それではどういう内容なのか。これまでの自由民主党の政策とどこが違うのか。自民党も何度となく成長戦略を打ち出したことは皆さんもご承知だと思うんです。しかし、残念ながら一時的な、カンフル的な効果はあったかもしれないけれども、持続的な経済の成長にはつながらない。つながらなかったというか逆
に格差が拡大し、自殺者は12年連続3万人を超えたままではないですか。
これまでの成長戦略が何が欠けていたのか。私はその最大の一つの要素は、地域から元気を取り戻すという、その政策の根本が抜け落ちていた、このように考えております。そこでこの間、進めていることで特に北海道に関連深いことを2つ、3つご紹介したいと思うんです。
いまここにメモを取ってきました。非誠勿擾(フェイチェンウーラオ)、ご存知ですかこれ。いま北海道の道東を舞台にした中国で放送、放映されている大変人気のある映画なんですね。いま、中国からのお客さんが、この北海道にもだいぶ増えてきたんじゃないですか。これは自然に増えたのかというと、2つの大
きな政策を実行したんです。今年の7月から中国から来られる方のビザの条件、前はものすごいお金持ちでなければ来れないという制限があったのを、中産階級の皆さんでも日本に来たい人は来れますよ、というふうにビザの条件を緩和したんですよ。
そしてもう1つ、前原国交大臣が北沢防衛大臣と相談をしたんですよ。何を相談したか、あの新千歳空港に外国の飛行機が降りられるのがものすごい制限されたんですね、いままでは。自衛隊の飛行機が飛び交う時は、外国の人たちにはあまり見てもらいたくないからといって、ものすごい制約されていたいた
のを、今回、大幅に外国から来る飛行機が離発着できる時間をどーんと伸ばしたんです。この2つによって、これまでもすでに増えてきておりますが、これから10月に11月に来年になれば、人気のこの北海道に中国からのお客さんがもっともっと増えることは間違いはありません。
そして何と言ってもこの政策には何兆円、何十兆円というお金は掛からなかったんですよ。つまりはこれまでの行き過ぎの規制の緩和によって、こういうお客さんが増え、そしてあるいは札幌で買い物される方が増え、そしてそこに雇用が生まれてくる。これこそが地域活性化の、雇用拡大の私は一つのモデルケ
ースだと思っておりまして、このようなことを全国に必ず広げていくということを、この場所でお約束させていただきたいと思います。
そして、もう一つお話をさせてください。この北海道は、食料自給率は北海道だけでいえば100%を遙かに超えているんですよね。それでありながら、なぜこの一次産業の盛んな北海道が疲弊をしてしまったんでしょうか。
私、4、5年前にドイツの黒い森という所に行ってきました。農村地帯でした。『このあたり人口はどうなんです』と聞いたら、『いやいや菅さんこのあたりは人口は減るどころか少し増えているんですよ』、『どういうことをやっているんですか』と言ったら、『いや酪農でミルクをとったり、お肉をとったり、ブドウをとったりする
けれども、ただそれだけじゃはないんです』と言うんですね。ミルクからはチーズをつくり、ブドウからはワインをつくり、そして、小さな湖のそばにリゾートの20戸とか30戸のホテルがあって、そういう所に土日になるとフランクフルトとか都市からどんどんお客さんと言いますかそこに休みに来る人がいる。だから都会で
仕事をしたい人は、フランクフルトとかどっかに行けばいいけれども、田園都市のきれいな町で、村で住みたい人は、十分そうした村や町でも住むことができる。
そして林業も見てまいりました。日本の林業、なんと日本で使われている材木の80%は外国から輸入しているんですよ。ドイツで聞いたら、『いや、ウチからまで輸入していると聞いてびっくりしました』。なぜこんなことになったのか。つまりは林業について作業道というものが、日本の山には入っていないもんですか
ら、間伐に行っても切った木を積みだすことができない。だから結局のところは、日本で育った木は、よほど価値のある木で、ヘリコプターで運ぶような木でない限りは、ほとんど使われていないためにこんなことになったんです。
申し上げたいことは、そのように食べ物をせっかく生産されている北海道で、そのまま東京や大阪に売るのではなくて、それを加工して付加価値をつけて、出来ればレストランやリゾートのホテルの中でそれをお客さんに出す。そうすれば、10円のブロッコリーが加工によって50円に、そしてレストランに運ばれ
れば100円になって、そこに付加価値が生まれてくるじゃありませんか。これが私たちが言っている6次産業。1次産業と加工の2次産業と、そしてサービスの3次産業に、この農業や林業を育て上げていくことが、まさに北海道の再生にも繋がるし、日本の再生にも繫がってくる。このことを是非この菅直人に実行
をさせていただきたい、そのお願いをしにやってまいったところでございます。
そして先ほど小沢さんからも、私が雇用、雇用、雇用と言っているとの紹介をいただきました。雇用はただ仕事がある、ないの問題だけではありません。仕事がない人は、社会の中で居場所がない、社会の中で参加する場所がない。先日、京都のジョブパークに行ってきました。新卒者で仕事のない人をカウン
セリングしている。来た人は最初はみんな暗い顔をしているというんですね。そのうちいろんな話をして、『あなたどういうことがやりたいの、どういう趣味があるの、どんなことなら経験したことがあるの』と色々話をしてきてるうちに、だんだん元気を取り戻し、自信を取り戻してきているというんですよね。
雇用には3つやらなければならないことがあります。1つは介護とか新たな仕事をつくっていく、雇用をつくるということが第一、これはもちろんですよね。もう1つは、実は大企業の求人倍率は0.5ぐらいで低いんですが、中小企業では若い人を採用したいという思いを持っている人、結構あるんです。求人倍率だ
と全国平均でいうと4なんです。しかし、中々それがマッチングしない。つまりはマッチングしないものを何とかそういうものを紹介し、また中小企業にとっても『おお、こういう若者なら是非採用しようじゃないか』というような、トライアル雇用ですとかね。そういう意味で雇用をつなぐことが第二目です。そして第三番目は
出て行ってしまう企業に対して、円高などで出て行ってしまう企業に対して日本の中で十分に仕事ができるように、例えば環境に強い企業に対しては、工場立地のときには応援するとか、また法人税についても、他の国に比べて高いために外国に出ていこうとする企業に対しては法人税を見直しすることも、いま政
府税調、党税調で検討してもらってますけども、何とか企業をつなぎ留めて雇用を守っていく。つくる雇用、つなぐ雇用、まもる雇用、この3つのことを是非、私、この菅直人、頑張りますからやらしていただきたいという事を改めてお願いを申し上げたいと思います。
そして、もう一つだけ話をさせてください。私は日本のいまの行政、政治のあり方は、ただ中央集権であるというだけではなくて、もう一つ深い深い改めなければならないものがあります。それは何か。それは縦割りということなんですよ。先日、その雇用のジョブパークに行ってみても、『いや、これはハローワークだ
から厚生労働省の窓口に行ってください』『えっ、新卒者ですか、これは学校の関係だから文科省に行ってください』『中小企業ですか、これは経済産業省だからそっちに行ってください」。つまりは集権だけではなく、縦割りでどこに相談に行っていいか訳がわからない。京都の例では、京都府が全体の責任を持って
やっておりましたから、そこに全部の情報や色々なものが集まっている。
どうでしょうか、この北海道も何でもかんでも霞が関に行って決まるのではなくて、北海道の中で全てのことが、ほとんど全てのことが決まるような政治に変えるべきだと、私、考えていることをですね、この場ではっきり申し上げたいと思うんです。そして、そういう地方分権、地域主権のその自治体に対して、国は
外交とか防衛とか通過とか、福祉の基本はしっかりやる。そして財政配分も、将来は権限と人材と財源を含めて、いまは2対1ぐらいが国にまずはきていますけれども、最終的には国が3分の1、自治体が3分の2、これこそが日本の国の大改革だとわたくしは考え、これに全力を挙げたいと思います、皆さん。
時間になりましたので、最後の一言で終わらせていただきます。この選挙が終われば小沢さんともこれまで通りしっかりと手を握って、この政権交代に期待された皆さんの期待に応えるために、全力を挙げて頑張り抜く覚悟を改めてお伝え申し上げ、私、菅直人のお訴えとさせていただきます。最後までのご支
援宜しくお願い致します。ありがとうございました。
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