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- ID:
- 47583
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0906
- 見出し:
- かんな削り 科学の目で解析
- 新聞・サイト名:
- 大分合同新聞
- 元URL:
- http://www.oita-press.co.jp/localNews/2010_128364883857.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 大分大学教育福祉科学部の田中通義教授(63)の研究室で、日本伝統の大工技術「かんな削り」を科学的に解析する研究が行われている。どの程度力を入れて、腕を動かすことで光沢のある表面に仕上げているのか―。かんなを使うケースが減る中、「科学の目を生かして匠(たくみ)の技を継承したい
」とデータ採取を続けている。
田中教授は大学で技術教育と木材加工を約30年にわたり指導。その中で「かんな削りを教えるのが一番難しい」と話す。角材をより薄く削ることできれいに仕上がるが、そのための刃の微調整や力の入れ具合などは長年培った“勘と感覚”が必要という。
一方、電動かんなの普及によって従来のかんなを使う大工も減少。「技術を継承するためにも職人技を数値で理論的に説明できないか」と研究しており、昨年からより正確なデータ収集に乗り出した。
データ採取は大分高等技術専門校(大分市)の訓練生が協力。頭や腕、腰などの関節計24カ所、かんなや角材を置く台にセンサーなどを装着して木材を削ってもらい、動きや力の入れ具合などを計測。同時に2台のカメラでフォームを記録する。
訓練生の松井勇太さん(18)は「姿勢や力の入れ方がベテランとどう違うのか気になる。データを比べたい」。同校木造建築科の三ケ尻光博指導員(52)は「職人技は目で見て独学で学ぶものだったが、客観的なデータがあれば指導に役立つ」と期待する。
これまでの調査で熟練者ほど両腕の力の移動がスムーズで、力の入れ具合も均等ということが分かった。さらにデータを集めて分析結果をまとめる。田中教授は「10ミクロン(100分の1ミリ)以下の薄さを人間の手で作り出せるのは日本人だけ。日本が誇る伝統技術を分かりやすく後世に伝えていきたい」
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