v10.0
- ID:
- 47493
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0831
- 見出し:
- 地球温暖化を「空」から監視
- 新聞・サイト名:
- TBS
- 元URL:
- http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4513851.html
- 写真・動画など:
- 【動画】
- 記事内容
- 世界的に猛暑が続いていますが、この夏、ロシアでは大規模な森林火災が相次ぎ、大きな問題となっています。そんななか、森林火災の早期発見に、航空機のパイロットが重要な役割を果たしています。目的は地球温暖化の防止です。
青空の下、緑の大地からもうもうと立ち上る白い煙。シベリア東部、上空1万メートルで撮影された森林火災の様子です。
「(日本を)離陸後3時間ほどたったときに、森林火災を発見しました」(日本航空 中島一郎 機長)
日本航空の中島一郎機長。今月、ヨーロッパに向かう便を運航中に、安全を確認した上で、この写真を撮影しました。
「この上の方に白く見えるのが雲でございまして、明らかに雲とは色が違う。これが火災による煙でございます」(日本航空 中島一郎 機長)
この夏、ロシアでは各地で大規模な森林火災が相次ぎました。焼失面積はおよそ93万ヘクタール、被害総額は360億円を超え、首都モスクワも煙に包まれる異常事態となりました。
日本航空では、環境保護への取り組みの一環として7年前から森林火災の発見に協力しています。
「タイムリーに発見できるのは我々(航空会社)だけと思っていますので」(日本航空 地球環境部 加藤義己 機長)
機長は森林火災を発見するとすぐに本社に報告します。
「飛行機から場所・時間・状況の報告を受けます」(日本航空オペレーションセンター 渡辺 順 さん)
さらに、そのデータはJAXA=宇宙航空研究開発機構へと転送されます。
JAXAでは森林火災の発生を衛星から探知するシステムの開発を進めていて、機長らが発見した森林火災の情報は、そのための重要なデータとなります。
「今年は例年よりも(森林火災が)かなり激しいですね」(JAXA 地球観測研究センター 中右浩二 博士)
多い年には日本の4割くらいの面積が燃えたこともあるというシベリアの森林。森の木々が燃えれば温室効果ガスが排出され、温暖化が進行します。現在、地球上で排出される温室効果ガスの半分程度が森林火災によるものという説もあります。
「どれくらいの量が実際に放出されているかを測るすべを誰も持ち合わせていなくて、そのための一歩として絶対知らなければいけないのは、どこでどれだけどのような火災が起きたかは調べる必要があります」(JAXA 地球観測研究センター 中右浩二 博士)
しかし、ここ数年、ロシア上空では、ある変化が起きているということです。
「ここ2、3年は上空が雲にべったりと覆われることが多くなりまして」(日本航空 地球環境部 加藤義己 機長)
以前はあまり見られなかった積乱雲や厚い雲が広がり、森林火災の発見が困難になってきています。
「少しでも雲の切れ間があれば見逃さないように発見には努めております」(日本航空 地球環境部 加藤義己 機長)
気候変動の影響なのか、すでに変化が始まっている地球の空。森林火災による地球温暖化を食い止めるには、各国の協力が不可欠な状況となっています。
..