v10.0
- ID:
- 47485
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0830
- 見出し:
- 地方点描:寺を塗る
- 新聞・サイト名:
- 秋田魁新報
- 元URL:
- http://www.sakigake.jp/p/column/chihou.jsp?kc=20100828ay
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
美郷町金沢西根の塗装業サセイペイント工業の工房に、約40センチ四方の杉板に天女、鳥、草花などが描かれた天井絵約50枚が立て掛けられていた。佐藤清美社長(65)によると、天井絵は約180年前の江戸後期に描かれたもので、茨城県の寺から復元を依頼された144枚の一部。2月から半年が
かりで作業を終えた。27日に運び出し、来年春に再び天井に張られる。
同社は社員13人。天井絵の復元を含め、寺社の新築、改修の塗装工事で、東北、関東を中心に北海道から兵庫県まで約300寺社を手掛ける。新築から十数年が経過すると、メンテナンスを依頼されるケースも多く、寺社関連の仕事は現在、売り上げの約2割を占めている。
創業した1967年当時は、住宅やビルの塗装がほとんどだったが、70年代から寺社も加わった。初めは県内の寺社を手掛け、山形県酒田市の建築会社の下請けをしたことをきっかけに、県外にも積極的に進出。防虫薬剤を木材に浸透させながら、丁寧に塗る作業が寺社から認められ、仕事が増えていっ
た。
さまざまな宗派のお経、しきたりなどを学んで、寺社関係者に解け込んでいったという佐藤社長。「住宅の着工が伸びず、全体的な塗装の仕事は減る傾向にある中、寺社は競合相手があまりないこともあり安定している。今後は売り上げの5割に達するように力を入れていきたい」と話す。
佐藤社長と妻則子さん(61)は「いつか自分たちが手掛けた全国の寺社を回ってみたい」と夢を語る。寺社の仕事をした分だけ、楽しみが増えていく。
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