v10.0
- ID:
- 47377
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0824
- 見出し:
- 豊永郷の民具劣化進む 大豊の住民ら新資料館計画
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20100821-OYT8T00762.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 藩政時代に「豊永郷」と呼ばれた大豊町北部地域の農村文化を残そうと、同町粟生(あお)の定福寺が収集し、国の有形民俗文化財にも指定された民具が、劣悪な保存環境の中で劣化の危機にさらされている。寺や地元住民らは民具を守ろうと2009年にNPO法人を設立、保存に動き出し、14年の新資
料館建設を目指し、活動している。21日には、高知市九反田の市文化プラザ・かるぽーとで、豊永郷の歴史や文化への理解を深める、4週連続の関連講座も始まった。
民具は、釣井義光前住職が1955年頃から収集を始め、民俗学者らの協力で集めた3000点を町に寄贈。73年には、寺の境内に「大豊町立民俗資料館」を建設し、82年には「土佐豊永郷及びその周辺における農村生産用具」として2595点が有形民俗文化財に指定され、2007年からは「定福寺豊
永郷民俗資料館」と名称を変更し、寺が約1万2000点を管理、保管している。
農業や林業に使う鎌やノコギリ、川漁に使う仕掛けなど多岐にわたり、特にノコギリの収集数は世界有数規模で、室町時代の形式を残すノコギリは国内で6本しかなく、うちの2本も資料館が所蔵。ただ、資料館には空調がないうえ、屋根も透明なため、民具は直射日光にさらされる。特に木や布への影響が
大きく、触ると崩れそうなほど朽ち果てたものもあるという。
こうした中、寺や住民らは09年、NPO法人「定福寺豊永郷民俗資料保存会」を設立。2億円かかると見込まれる新資料館の建設費を集める募金活動などを行っている。釣井龍秀副住職(37)は「柄の部分の手あかの跡を見ると、厳しい山あいの中で、家族のために豊作を願って作業した思いが伝わってく
る。危機的状況にある民具を何とか残したい」と力を込める。
21日の講座では、土佐山内家宝物資料館の藤田雅子学芸員が「土佐半生と豊永郷―土佐藩士豊永氏の先祖書から見える初期の藩政」と題し、江戸時代以前の中世の特徴を残した豊永郷の特殊性を説明。29日と9月5、12日にも開かれる。問い合わせは同保存会(0887・74・0301)。
..