v10.0
- ID:
- 46623
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0630
- 見出し:
- 京の人今日の人:府立植物園、初の名誉園長・松谷茂さん /京都
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20100630ddlk26070593000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
これからも魅力発信 「きまぐれ散歩」続編で恩返し--松谷茂さん(60)
ぐずついた天気にもかかわらず、府立植物園(京都市左京区)の観察会に187人が集まった。27日に初めて開かれた「名誉園長さんときまぐれ散歩」。イチョウ、ムクノキ、ハリモミ……。同園を1時間歩きながら、青い実が付いた樹木の前でスピーカーを片手にガイドする。「植物園は、花が咲いてなくても
面白い」。参加者は熟す前の意外な実の様子に驚きの声を上げた。
園長に就任した06年度から4年間、全国の公立総合植物園の中で、日本一の来園者数を記録した。1924年に開園した同園の9代目園長を5月25日に定年退職。その翌日付で、同園で初めての名誉園長に就任した。
知らない場所に出向くことが好きな少年だった。75年に林業技師として府に入庁し、森林調査の部門を長く務め、府内の山を歩き回った。
95年に技術者として同園に赴任し、驚いたことが二つあった。一つは、甲子園の約6倍の広さがある同園のどこに何の植物があるのか、来園者に提供できる資料がなかったことだ。もう一つは、多品種を栽培し、中には絶滅危惧(きぐ)種も育てることのできる職員たちの高い技術力だった。
「公立の施設として、府民に還元するためにも、魅力を伝えていくべきだ」。来園者数が増える取り組みは園長就任前から始めていた。技術職員らの本音を聞こうと、作業現場を巡回。04年から手作りで同園の見どころマップを作り始め、06年からは「園長さんときまぐれ散歩」をスタートさせた。退職までに、
マップは252号を数え、散歩は48回開催し約3200人が集まった。
同園以外の取り組みも学んだ。来園者が急増した北海道の旭山動物園には3度訪れた。動物の行動を来園者に見せたいと努力する職員の姿を見て、植物園も同じだと思った。
「名誉園長さんときまぐれ散歩」のいでたちは、以前のような作業服ではなく、えり付きのシャツにチノパン。「(同園の)外からPRに務める意味でも、ラフな格好でやります」と笑う。「恩返しする気持ちで、奇をてらうことなく植物そのものの魅力を発信していきたい」
..