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- ID:
- 45869
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0503
- 見出し:
- エネルギーの地産地消 地元の木「いかそまい」
- 新聞・サイト名:
- 岐阜新聞
- 元URL:
- http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2010/gifu_kairyu/7/gifu_kairyu7_4.shtml
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- ブランド木材「東濃ひのき」の産地中津川市加子母で2月、木質バイオマスへのエネルギー転換を目指した勉強会が開かれた。「油はどんどん高くなるし、いつまで掘れるか分からん。せっかく木がたくさんあるのに使わん手はない。まず加子母からやろうやないか」。世話人の中島紀于さん(65)の呼び掛け
を皮切りに、議論は3時間に及んだ。
勉強会は住民有志でつくる循環型地域づくり研究会「いかそまい会」。限りある化石燃料を消費するだけの社会から脱却し、地域で生みだした資源を地域でエネルギー化して利用する“エネルギーの地産地消”を掲げて発足した。まずは、木質バイオマスストーブを各世帯へ導入し、暖房用燃料の転換を図
ろうとしている。
名古屋大学大学院環境学研究科准教授の高野雅夫さん(47)は「木質バイオマスの利用はそもそも林業が成り立っている地域でなければできない」と指摘する。かつて、尾張藩の飛び地領として森林が厳しく管理された加子母地区は、今も林業が生業として成り立つ希少な地。現在も約20の製材所が稼
働し、日常的に製材くずが排出されるうえ、間伐材にも事欠かない。
さらに、高野さんは「加子母は日ごろから住民間のコミュニケーションがとれており、何かをしようとした時すぐに協力できる地域。木質バイオマスも実現の可能性は十分にある」とみる。12年前に転入したイラストレーター本間希代子さん(37)は「ここの人はとにかく加子母が好き。自然条件が厳しいだけに、
助け合わなければ生きていけないことを知っている」と、郷土愛と地域力の強さに驚く。「今あるものをいかに生かして生活するかを考え、そのための知恵や技術をたくさん持っている」とは市職員の善田奈緒さん(30)。エネルギーに限らず、地産地消を実践してきた気風がここにはある。
中島さんは言う。「日本の7割は田舎。田舎をうまく使わなければ、日本の未来は危うい。加子母くらい自然や交通条件の厳しい所で成功すれば、大抵の所で通用するんやないか」。加子母から新エネルギーモデルを発信する心意気がにじんでいた。
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