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木造建築のネツト記事
ID :  11936
公開日 :  2009年 6月 3日
タイトル
[技の継承新風に期待 木工業界で徒弟制度復活
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20090602-OYT8T00878.htm
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元urltop:
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写真:
 
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職人の高齢化、後継者不足に悩む徳島の地場産業・木工業界で、6業者が長らく途絶えていた“徒弟制度”を改めて始めた。徳島市地場産業振興協会が伝統技術を広く伝えるために一般向けに設けた木工塾 では、満足できない本物志向の人たちが、弟子入りを志願したという。業者の一つ、誠秀工芸(徳島市北沖洲)では、同市川内町のハーモニカマイク修理販売業、住友孝嘉さん(31)が修業をスタート。各弟子の動機は様 々だが、親方たちは「きっと技術を習得し、発展させてくれる」と信じている。(上田真央)  同協会が2004~06年に、県内の仏壇や建具メーカーの経営者、従業員の平均年齢を調べたところ、回答した222社の約6割が50歳以上だった。
 このため、協会は後継者の育成を目的に06年度から木工塾を開講。しかし、次第に受講生から、「基礎から徹底的に学びたい」「もっと高度な技術を身につけたい」などの声が増えたという。そこで協会は、かつては同 業界で広く行われ、今では珍しくなった「弟子入り」で後継者を育てようと業者に呼びかけ、6社が応じた。
 誠秀工芸は、木材の円形加工「ろくろ加工」を70年手がけ、専務の宮竹良則さん(54)自身も40年間、高級仏壇の部品、お香入れなどを製造、販売。しかし、機械加工品やプラスチック製品の台頭で注文が激減し、20 年ほど前は職人7人でフル稼働していた工場を今、兄(61)と2人で支えている。
 宮竹さんは「技術と知恵は受け継がれてなんぼ。途絶えたら価値はなくなる」と言い切る。協会の呼びかけを歓迎し、20年ぶりに新人として住友さんを迎え入れることにした。
 一方、住友さんは自宅でハーモニカ用の特殊なマイクの修理をしてきたが、木のぬくもりが手に伝わり、軽量で操作性に優れたオリジナルマイクを自作しようと決意。そのために必要な木工技術を習得しようと弟子入り を決めた。
 高級木工品とハーモニカ用マイク。全く異分野の製品だが、宮竹さんは「学んだ木工技術を応用しようとしている」と住友さんを評価する。「マイクで収まらず、もういっちょ上の技術を目指すやろう。その中でウチのろく ろが生かされたらいい」と話し、技術を出し惜しまない。
 住友さんは宮竹さんに自分で用意した機械を見せ、材料にする木材についてアドバイスをもらった。今後は本業の空いている時間に同社を訪ね、刃物の使い方など、ろくろ加工を一から学ぶという。
 住友さんは「技術を受け継ぎ、その技術をまた伝えて、新しいアイデアをいっぱい生み出したい」と張り切る。宮竹さんは「木の命、扱い方、工程を体で覚えてもらう。いつも、ろくろを空けて待っててやる」と、若い後継 者に期待している。
 弟子を受け入れている業者はほかに、徳島市の西岡セイケイ(成型合板)、椅子(いす)徳製作所(いす製造)、江渕鏡台店(家具製造)、伊川彫刻店(木彫り)、石井町の工房正峯(同)。問い合わせは徳島市地場産業振興 協会(088・626・2453)へ。