ID :
6623
公開日 :
2008年 3月 6日
タイトル
[トップに聞く/「⑭小野建築研究所」社長・小野泰太郎さん
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新聞名
週刊アキタ
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元URL.
http://www13.plala.or.jp/news21/shimen/0307_bis02.html
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写真:
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新しい建築発注代行システム(CM方式)による地域の森林再生の取り組みが全国から注目されているが発案したきっかけは。
「バブルがはじけて高度成長時代から低成長時代に変化する中で建設業界のシステムをどう変えて行く必要があるのか、勉強しようと、県内の16社が集まり平成8年に『秋田すまい塾』を立ち上げたのがきっかけ。その
中で、これからの課題として浮上したのが、一つは住宅づくりが重層化し職人に正当な賃金が回らず職人が育たない環境になってきたこと。もう一つは秋田スギに対する知識がユーザーだけでなく建築業者にも乏しいこ
とだった。そのため職人の顔が見え、生産者がユーザーとつながる発注システムをと、従来の一括受注施工体制を排除し、分離発注する新しい建築発注代行システム(CM方式)を考えた。この方式だと仕様や資材を発
注者が自由に選択することができ、中間マージンがカットされコストダウンも図れる。また木材の分離発注ができ林業生産者に正当な利益が還元できれば林業に打ち込めるシステムも構築でき職人や林業家に責任感が
生まれ自立へつながる。さらに秋田スギの啓蒙をしようと平成13年に『まちづくりネットワーク』を立ち上げ、ユーザー向けにセミナーや森林体験を行ってきた。お陰様で平成13年から現在まで民間住宅80棟、リフォーム
117棟の実績を上げている。これらの活動が評価され、昨年度は木材供給システム優良事例コンクールで農林水産大臣賞、今年度は住宅・木材振興奨励賞を受賞した」。
●CM方式を活用した業務提携も広がっているが。
「“食”の地産地消と“住”の地産地消という共通の理念から秋田市民生協と平成15年に業務提携を締結した。これはCM方式を活用し工事監理をするとともに、生協が秋田杉を利用した住宅建築を農産品の地産地消の
活動の一環として推進していくというもの。また秋田県信用金庫協会と秋田スギの家供給グループとの業務提携により、通常より金利が安く保証料不要の『しんきん秋田スギ住宅ローン』も商品化されている」。
●今後の抱負は。
「荒廃した森林を再生するために今後森林所有者にどう還元していくかが大きな課題。そのために今年は実験的に私自身の所有する森林を活用し、間引きした原木を製材費と運搬費だけで提供し、ユーザーと森林所
有者が直接つながる家づくりをしてみたい。木材の費用もかなり格安になると同時に山も育つはず。今まで下請けだった職人と森林所有者が自ら街づくりをリードしていく実績を秋田に広げていきたい」。