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ID :  6352
公開日 :  2008年 2月16日
タイトル
[大川 家具業界ダブルパンチ 資材と輸送費上昇 住宅着
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工件数が減 ブランド力上げ打開へ
新聞名
西日本新聞
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元URL.
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/fukuoka/20080217/20080217_010.shtml
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元urltop:
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写真:
 
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原油高が、全国有数の家具産地・大川市に大きな打撃を与えている。販売高が最盛期に比べ3分の1に落ち込み、低迷する業界に追い打ちをかけるように、資材が高騰し、輸送費が上昇している。さらに昨 年施行された建築基準法改正の影響による住宅着工件数の減少も、販売に影を落としている。大川の家具業界が直面している厳しい現状を報告する。 (大川支局・永松幸治) ■「値上げできない」  「この資料を見てください」  1月中旬、同市鬼古賀の運送会社「新(あらた)運輸」の中島徳明社長(42)は、得意先の家具メーカーを次々にまわり、A4判の用紙2枚を示して運送費の値上げを懇願した。資料には、原油高により燃料費が昨年1年間 で3割近く上昇したことなどが詳細に書かれていた。
 大川は、家具メーカー、問屋、関連運送業者などが共存し、1大産地として成長してきた経緯がある。近年は小売店に直接商品を卸すメーカーも増えてはいるが、その関係は今も大きくは変わらない。新運輸も取引先の 7割が家具メーカーだ。
 「家具業界が厳しいことは分かっているし、価格転嫁を頼むのも気がひける。ただ、もう企業努力ではどうしようもない」。中島社長は頭を抱える。
 原油高の影響は、家具メーカーにも直接影響を及ぼしている。
 同市鬼古賀の家具メーカー「広松木工」は、木材など資材価格が上がり始めた1年半前、上昇分を価格に転嫁した。上げ幅は1割程度。しかし、その後も原油高による資材価格の高騰は続いている。広松嘉明社長は「た だでさえ家具が売れていない状況で、これ以上価格を上げるのは難しい」と悩みは深い。
■注文数が3割減に  一方、相次ぐ耐震偽装を受けて改正された建築基準法施行翌月の昨年7月、建築物着工の申請許可件数は前年同月比39.4%も減少した(国土交通省住宅局建築指導課調べ)。同11月には、住宅着工がスムーズに行 われるよう同法施行規則が改正されたが、翌12月も同11.5%減(同)だった。
 このため、家具とともに建具メーカーも多い大川は打撃を受け、転居が増える2、3月の今の時季も「昨年比で3割近く注文が減っている」(大川建具協同事業組合)という。同組合の竹下茂満理事長は「資材高に加えて、 ダブルショックです」と肩を落とす。
■海外の80社と商談  こうした中でも大川家具業界は、活路を開こうと動きだしている。
 同組合などは、来月4日から太宰府市の九州国立博物館で、大川の高い技術をPRする展示会を開催。竹下理事長は「技術を直接見てもらえれば、消費者に理解され、販路拡大にもつながるはず」と期待する。
 大川の家具職人が集まって作ったニューブランド「SAJICA」(サジカ)は、2年連続で海外の展示会に出品した。1月にドイツであった展示会には多くの業者が集まり、現在は海外の80社近くと商談を進めているという。
 大川家具の商品開発指導などをしている大川総合インテリア産業振興センター(同市酒見)の江崎賢司業務課長は「業界は確かに厳しいが、ユニークなアイデアを出して頑張っているところもある。ブランド力を上げ、 ピンチをチャンスに変える努力を続けたい」と話している。