ID :
5855
公開日 :
2007年 12月24日
タイトル
[家が建たない 「国交省が引き起こした官製不況だ
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/071224/sty0712241744005-n1.htm
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写真:
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耐震強度偽装事件を受けた6月の建築基準法改正により、全国の建築現場で大きな混乱が続いている。二重チェック制の導入など着工前の審査(建築確認)が厳格化され、手続きが著しく滞っているためだ。
住宅着工数は落ち込み、国内総生産(GDP)を押し下げる要因にもなっている。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の波及や原油価格の高騰などと並び、いまや国内景気を揺るがす懸
念材料の一つに。「官製不況」の声を振り払うべく政府は対応に重い腰を上げたが、先行きはなお不透明だ。
■暗い影
11月に横浜市内の住宅建設現場で行われた地鎮祭。東京都大田区の工務店「創建舎」に地下1階、地上2階の住宅建設を依頼した夫婦は、ややうんざりした様子で「疲れたよ」とつぶやいた。
夫婦は7月に古い家を解体し、仮住まいで生活を始めた。建築基準法改正の影響で、建築確認申請に必要な構造計算に時間がかかり、申請は9月に入ってからだった。11月にようやく確認が下りたが、夫婦は「(法改正
に踏み切った)行政を訴えられないのか」といらだちを募らせた。
同社の中里一雄社長は「改正前なら9月に着工できた。建て主さんにとって家造りは本来、楽しいはずなんだが…」と戸惑いを隠せない。
耐震強度偽装事件を受け、国土交通省は「構造計算などで偽装はありえない」とする“性善説”から“性悪説”へシフトし、さまざまな再発防止策を打ち出した。建築確認の厳格化を盛り込んだ基準法改正は、その柱。本
来なら消費者を守るための施策だが、皮肉にも景気に暗い影を落とす結果を招いている。
国交省によると、10月の新設住宅着工数は7万6920戸の、前年同月比35%減で、4カ月連続の減少。とくに落ち込みが大きかったのは二重チェックが課せられた分譲マンション。首都圏が同73・0%減、近畿圏も同
72・5%減と大幅減を記録した。
着工数が減れば、住宅メーカーやデベロッパーを直撃するだけでなく、セメントや鉄鋼、木材、瓦の消費減も誘発し、果ては運輸、家電、自動車、広告代理店などにも影響が及ぶ。政府は12月14日の閣議で、住宅着工
数の減少について「GDPの押し下げの要因になると考えられる」との答弁書を決定した。