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ID 2111
登録日   2006年 11月17日
タイトル
神宮外苑か 御堂筋か
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.be.asahi.com/be_s/20061119/20061102TSUN0013A.html
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元urltop:
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写真:
 
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イチョウは人気者である。国土交通省が5年ごとに行っている街路樹調査によるとイチョウは全国で約62万本。高木としてはサクラやケヤキを抑えて1位の座を占め続けている。  「都道府県の木」をみても、東京、大阪、神奈川の大どころがいずれもイチョウ。東大と大阪大の校章もイチョウの葉をデザインしたものだ。  イチョウ並木は各地にあるが、東京は明治神宮外苑、大阪は御堂筋が有名。  外苑の並木は146本。1923(大正12)年に植えられた。距離感を強調する遠近法効果をねらい、青山通り側は樹高24メートル、御苑側は21メートルに剪定(せんてい)している。  祖父が植え、その後も管理を請けおってきた小川植木(東京)の中里氏久社長(69)は、「日本が胸を張れる並木」という。  空襲にも遭った。樹齢90年を超え、空洞の入った木も多い。しかし、まだ1本も枯れていない。「今の管理を維持すれば、あと百年は大丈夫ですよ」  御堂筋の並木は1937(昭和12)年に植えられた。4.5キロの道に約900本の木が、今年も黄金色のトンネルを作っている。  「ここは大阪の街路樹の中でも別格。基本的に無剪定で、自然樹形を大事にしています」。管理を受けもつ大阪市北部方面公園事務所の寺川太さんはいう。「沿道のビル工事は、並木をどうするかの話がまとまらなけれ ば道路占用許可は出ません」。それほど大事にされている。  しかし、すぐ下を地下鉄が走り土が浅い。交通も激しく、環境は厳しい。開通当時の木はもう4、5本しか残っていないという。 「邪魔」として切り倒された神社の雄イチョウ=愛知県稲沢市祖父江町山崎地区で 嫌われ切られ雄株の悲劇  イチョウはジュラ紀や白亜紀、恐竜の時代に栄え、今まで生き残ってきただけに、原始的な性質を残している。その一つが、雄株と雌株があり、雄株の花粉から精子ができることだ。  毎年5月ごろ、雄株から花粉が風に乗って飛び、雌株のめしべにつく。9月ごろ、花粉から精子が出て受精する。そしてできるのがタネの「ぎんなん」だ。  木の人気にくらべ、こちらの方の評判は微妙だ。  とにかく種皮がくさい。長田敏行東大教授は「正体はブチル酸」という。うっかり触るとかぶれる。ギンコール酸、ビロボールといった成分のせいだ。酸性が強く、車の上に落ちると車体がさびる。  しかし、蓼(たで)食う虫も好き好き。タヌキが食べているという研究報告があるという。ネズミも食べるらしい。私は銀座のカラスが食べるのをみたことがある。長田教授は「恐竜が食べていたのも間違いない」といった 。 ぎんなん不評  人間は種皮の中の白い殻に包まれた「ぎんなん」を食べる。殻の中の胚乳(はいにゅう)は半透明の淡緑色。私は炒(い)って食べるのが好きだ。ねっとりした歯ごたえ、かすかな苦み。大人の味である。  堅い殻に包まれていてもぎんなんは生もの。古くからの産地である愛知県の一宮支所農業改良普及課の山田利行専門員は「日に0.02グラムずつ水分が失われる。理想は収穫から3、4日、少なくとも買ったらすぐ食べ てほしい」という。  市場価格は粒が大きいほど高い。3L、2L、L、Mなどがあり、料亭向きの3Lはキロ2000円前後で、Mの2倍以上。当然、農家は大粒化をめざす。  「雄株の悲劇」は、ここから始まる。 5000本に2本  同県のぎんなん生産の中心地、稲沢市祖父江町山崎地区、山崎園芸出荷組合顧問の森宏さん(63)は、「雄株はいらない。近くにあると種がつきすぎて小粒になってしまうから」という。雄株、元気で留守がいい、という わけだ。  同地区には約5000本のイチョウがあるが、雄株は2本だけ。地区の氏神様のひとつ、熱田社に雌株と間違えて植えたものだという。前は3本あったが、1本は切られて倒れている。  旧祖父江町は街路樹に決してイチョウは植えなかった。過去には、近くの県道に植えた街路樹が雄株とわかり、農家の抗議で伐採するという「事件」もあったと、森さんはいう。  もっとも、街路樹としてはぎんなんの苦情のこない雄株が好まれる。  御堂筋も10年以上前から植え替えは雄株を原則にしている。大阪国道事務所によれば、今では雌株は全体の2割ほど。かつては業者に入札させていたぎんなんも、今は年1回、市民に無料で拾ってもらう行事とふる い落としたぎんなんを配る行事だけになっている。    下鴨神社の鴨脚(いちょう)さん 「木は私どもより後」  国際自然保護連合はイチョウを絶滅危惧(ぜつめつきぐ)種に指定している。神社や公園、道路に植わっているのでピンとこないが、実は野生のイチョウの木がほとんどないからだ。  原生林は中国南部にあるが、これにも人の手が入っているとする人も多い。日本には鎌倉時代のころに伝わったとされ、日本の長崎から欧米に広まった。  葉がアヒルの足裏の形に似ているとして、中国ではイチョウの木を鴨脚(ヤチアオ)樹とも書く。和名はこの古い中国語に由来する。京都・下鴨神社で神職を務める社家に鴨脚(いちょう)家がある。10月に亡くなられた 鴨脚(いちょう)慶夫(よしお)さんは生前、「木の名は私どもより後ですわ」と話してくれた。  イチョウの精子は、1896(明治29)年、旧東京帝大助手、平瀬作五郎が発見した。東京・小石川植物園の大イチョウにのぼり、そこに寝泊まりしながらぎんなんを採集するという苦労の末の成果だった。  中学卒の平瀬は翌年、中学校教員になったが、1912年、学士院恩賜賞を授与された。  花粉は、当時お茶の水にあった女子高等師範学校から飛んできたとうわさされた。樹齢300年近い大イチョウは、今も園内に健在である。 (文・内山幸男 写真・伊ヶ崎忍)
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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