ID 2031
登録日
2006年 11月 9日
タイトル
よろこびの森で
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新聞名
nikkeiBP
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元URL.
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/joy/country/061109_yorokobi/index2.html
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元urltop:
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写真:
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沖縄民謡が始まると、岡倉さんが踊りながら登場してきた。手を頭の横でクルックルッと回しながら、沖縄風の踊りを真似ている。客席に知り合いを見つけては、一緒に踊ろうと強引に手を引いていた。
だんだんと日が傾き赤味を増した光が、ステージを照らしている。そのなかに、笑顔の人の輪があった。色味を増した広葉樹たちが、それを包み込んでいる。
少し離れた小高い場所から、コンサートの様子を見ていると、知り合いの町会議員がやってきた。
「きれいな、いいところでしょ。雑木林って、やっぱりいいんだよね。でもさ、ここらあたりの山は表土が薄くて、すぐ岩になっちゃうから、杉なんか育たないんだ。だから、山の価値は低いんだよね」
そう、教えてくれた。杉などが植えにくい山だったから、雑木林が残ったようだ。杉の森は暗い。遠くから眺めても、暗い山は杉の植林地だとすぐ分かる。広葉樹の多い雑木林の方が明るいし、歩いていても楽しい。キノコ
なども豊富だ。
それでも経済的価値が優先されて、戦後、日本の山は杉や檜の幼木で覆われることとなった。その杉や檜も現在では外材に押されて、伐採すればするだけ赤字という状態だ。まさに、踏んだり蹴ったりというのが、今の日
本の山である。どうすればいいのか、私には見当もつかない。
でも、雑木林を無邪気に走り回る子供たちの姿を見ていると、森の面白さ、大切さだけは良く分かる。忙しく立ち回っている岡倉さんが、傍を通り過ぎざまに、誰にともなく話していた。
「うちは天国だねぇ。これだけたくさんの子供がいるんだから」
そう、森の再生とは、きっと人が森に集まり、森を楽しみ、森に感謝することから始まるに違いない。そのことを多くの人に伝えたいと思った。
岡倉夫妻。明るく元気だ
お客さんたちを巻き込んで踊り始める
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