ID 15376
登録日
2010年 3月16日
タイトル
熊楠が救った「引作の大クス」 折れた枝をテーブルに
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wakayama/news/20100315-OYT8T01205.htm
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元urltop:
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写真:
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南方熊楠顕彰館(田辺市中屋敷町)は、熊楠が神社合祀(ごうし)令による伐採の危機から救った引作(ひきつくり)神社(三重県御浜町)のクスノキの大枝をテーブルに加工し15日、館内に据え付けた。大枝は幹
の空洞化で折れ、同町から「交流のきっかけに」と贈られていた。同館は入館者が直接触れ、自然保護に尽くした熊楠をしのんでもらうことにした。
クスノキは「引作の大クス」と呼ばれ、樹高約35メートル。推定樹齢1500年ともいわれ、三重県の天然記念物に指定されている。熊楠は1911年、地元新聞の記事で大クス伐採の危機を知った。当時、内閣書記官だっ
た民俗学者の柳田国男に手紙を送り、三重県知事へのとりなしを依頼するなどして、事なきを得た。
大クスはその後、住民が大切に守ってきたが2007年9月、地上4・4メートルから張り出した大枝が台風で折れた。同町は09年8月、「熊楠をしのぶ展示資料に」と同館への寄贈を申し出た。
寄贈された大枝は大型の輪切り(長径2メートル、厚さ1メートル、重さ約1・2トン)1台と、比較的小型(長径1メートル、厚さ0・75メートル、重さ約0・3トン)の2台に分かれており、大小1台ずつをテーブルに加工。樹皮
をはいで磨いたが、木の大きさや年輪がわかるよう着色はしていない。残る1台は加工せず、当面、寄贈時の状態で保管する。
古川弘典町長は「大クスの恩人である熊楠翁の縁で、田辺市との交流が発展することを祈っている」とコメント。中瀬喜陽館長は「感謝したい。熊楠は巨樹が歴史を語る重要な証人とみていた。多くの人に、大クスが語
る言葉に耳を傾けてほしい」と話している。
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