ID 12467
登録日 2009年 7月 8日
タイトル
ナシの木は残った
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20090709-OYT8T00095.htm
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元urltop:
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写真:
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樹齢100年以上、一度は郊外へ移植決定
ナシの巨木を見上げる井原さん(右)と阿部さん(今年5月)
福島市中心部にある樹齢100~150年のナシの木。今秋から始まる市道の拡幅工事に伴い、市は郊外への移植をいったん決めたが、「市民から愛されている」として、急きょ工事内容を変え、現在のまま残すことにし
た。「ナシの木は残った」と、長年親しんできた地元住民は喜んでいる。
この老木は、同市置賜町の東北電力福島営業所敷地内にある2本の「ヤマナシ」のうち、市道に面した南側の1本。高さ約10・5メートル、幹回りは約1・7メートルあり、誰が植えたかは不明だが、市交通政策課によると、
江戸時代後期から明治時代初期にかけ、冬の間の食用として植えられたものだという。
これが、現在の市道幅8・5メートルから、歩道も含めて22メートルに広げる拡幅工事の対象範囲に入り、市は今年度予算で郊外に移植することを決めた。
しかし、この計画が知れ渡った5月頃から、市民に「寂しい」という声があがり、市は住民に長年愛されてきたということに加え、樹木医などにも相談した結果、老木の移植は難しく、必ずしも成功する保証が得られないと
して、保存法の再検討を始めた。
その結果、「100年以上も市民を見守ってきてくれた老木を大切にしたい」として、道幅は22メートルで変えないものの、車道部分を当初予定の10・5メートルから8メートルに縮小。老木が立つ位置を歩道部分とし、老
木はそのまま残すことにした。この歩道部分には、半月形の花壇を作り、そばには老木の歴史などを説明した立て看板も設置することにした。
この結果に地元の住民からは喜びの声があがった。
現在は東北電力福島営業所の建物解体工事で、老木の周囲は立ち入り禁止となっているが、近くで青果店を経営する井原寛さん(63)は、毎日のように老木のもとに集まって遊んでいた小学生時代を振り返り、「セミを
取るなどして遊んでいた思い出の木であり、いい形での保存が決まってうれしい」と笑顔で話す。また、老木のすぐ近くの家で生まれた主婦阿部寛子さん(77)は「春はいつも白い花が咲き、美しさに見とれてしまうほど。
これからもずっとそばで見ることができてよかった」としみじみと語っていた。
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