ID 1078
登録日 2006年 5月27日
タイトル
MRIで樹木を診断 森林総合研究所
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/00/ibg/20060529/lcl_____ibg_____003.shtml
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元urltop:
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写真:
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森林総合研究所は、脳検査などに使う医療用の磁気共鳴画像装置(MRI)を、樹木内部の診断に活用する方法を開発した。
樹木がかかる病気のうち、カビや微生物が幹の内部で組織を腐らせるような場合、葉が枯れるなどの見た目で分かる変化が表れた時は、既に手遅れのことが多い。
MRIは、切らずに脳などの断面を映像化できるのが特徴。樹木でもMRIを使って、幹の内部の感染メカニズム解明に向けた研究が進められているが、解像度が低いため、十分な診断ができないなどの課題があった。
同研究所は岩手医大と共同で、二年掛かりで、研究用MRIを使って研究した結果、幹の中で水分を通す管を識別できるまで解像度を高めることに成功した。
荒れ放題の雑木林で、集団枯死したドングリやミズナラから、病原菌に感染した苗を十日おきにMRIで観察。病原菌を運ぶ体長五ミリの昆虫が、幹の内部であちこちに穴を掘り、周辺から水の流れが止まり、枯れていく
過程を明らかにした。
樹木の病気の中でも、深刻なのが松くい虫被害。今のところ、完全に防ぐ方法は見つかっていないが、感染しても生き残りやすい個体の苗を増産し、被害を抑える取り組みが進められている。MRIを使えば、感染への
強さを効果的に調べられるという。 (小沢伸介)
<ここがミソ>
樹木の内部では、根から吸い上げた水分が幹を通り、葉っぱから蒸発する現象が起きている。水分の移動は、養分を樹木全体に行き渡らせる役割もある。このため、水の流れが止まると木は枯れる。
MRIの映像は、水を多く含む部分が白く見える。樹木の診断には有効だが、装置そのものが高価で操作に専門のオペレーターが必要。電気代だけで年間2000万円も掛かり、植物専用のMRIは現状では困難という。++
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