ID 920
登録日 2006年 5月 3日
タイトル
古い木造住宅の強さには驚く。
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.Column.hokuto?newsid=20060503ax
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元urltop:
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写真:
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県内に残る武家住宅といえば花見客でにぎわう仙北市角館町の街並みがつとに有名だが、改修され先月一般公開された由利本荘市矢島町の旧佐藤家住宅も武家の暮らしを伝えている
▼すっきりとした外観で通りに面した出窓には細い格子が組まれ、全体にきゃしゃな感じさえする。座敷棟と台所棟をL字型に配した内部は各部屋を縁側でつなぎ、使い勝手は良さそうだ。1869(明治2)年に江戸から大
工を呼んで建てたという
▼矢島には対照的な古民家がある。国の重要文化財の土田家住宅。旧佐藤家より200年ほど前の江戸初期(17世紀)に建てられた上層農家住宅で、中世武士の住宅の流れをくむとされる。見るからに重厚な趣の住宅だ
▼随所に旧佐藤家との違いが見られる。旧佐藤家は屋根が低く、緩い傾斜の板ぶき(現在は銅板)で、建材は主に杉。土田家はとがった高いかやぶき屋根で建材にはクリ、ブナ、カツラなどの雑木を充て、針葉樹は使って
いない
▼2棟とも改修されているとはいえ、古い木造住宅の強さには驚く。現代の日本の住宅の耐用年数は30年程度とされる。生活様式の変化に伴い使い勝手が悪くなれば建て替える。これが短命の要因とみられる
▼軽やかな旧佐藤家と重厚な土田家。建て方に違いはあっても代々長く住まう家という認識では共通し、職人たちは面目をかけて建築に携わったことだろう。現代、家も使い捨てる感覚がさまざまな住宅問題の根源にあ
るのではなかろうか。
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