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ID 10134
登録日 2009年 1月15日
タイトル
タイトル
JICAが勧める森林農業
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新聞名
新聞名 サンパウロ新聞
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元URL.
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DO_N_ID =27305
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元urltop:
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写真:
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午前中に高松さんの農場での研修を終えた一行は、昼食をとるため一旦ホテルに戻った。休憩の後、午後からは小長野(こながの)ミチノリさん(五〇、鹿児島県出身)の農場へと向かう。
 CAMTA(トメアスー農協)の組合員である小長野さんの農場は、クワトロ・ボッカスから約二十キロ離れた場所に合計で八百五十ヘクタールの土地を所有する。常時、四十人の労働者を使用し、繁忙期にはその人数は 倍になるという。
 高松さんと同じく、異常気象に関することが話題に上った。
 「ここ二、三年乾燥がひどく、例年以上に蒸し暑くなっています。今年は特に雨が少なく、歩留(ぶど)まりが悪い。西側の木は自然に焼けてしまったほどです。四十年以上住んでいますが、気候がかなり変わってきており、 これからは作り方を変えていかないと」と小長野さん。その一方で「農業は大好きなので、(作物の)値段のことはあまり気にしていないですけどね」と話す。
 農場では、初年度、二年目などと道路を隔てて年ごとに土地を換えて混植しているため、森林農業の成り立ちと経過が実際の目で分かるようになっていた。
 一年目の土地は、今年三月に土を掘り返して石灰を入れ、ピメンタ、カカオのほか、バナナ、トウモロコシや米なども混植したという。
 「一年目はコストもかかり、草刈作業なども大変ですが、二年目になれば日陰もできるし楽になります。何を混植するかは場所によって違いますが、その土地にあるものを植えるのが理想です」  一年目の土地には、支柱の根本部分にからまるように生え出したピメンタの青い葉が少し見えていたが、混植した他の作物もまだほとんど育っていないため日陰が少なく、その場所で説明を聞いているだけで汗が吹き 出す。
 道を隔てた二年目の土地は、すでにバナナの樹が生い茂り、ピメンタも二、三メートルの高さに生長し葉が青々としている。土の色も一年目の黄土色から茶褐色へと変わりつつあった。地面には樹木の枯葉などが落ち ており、やり方によって自然の有機肥料として使用できるという。多種の樹木の枝に覆われて陰ができ、刺すような陽射しを避けられるのが嬉しい。 収穫期は、カカオが六月から八月、ピメンタが九月から十一月、クプ アスーが十一月から五月。混植することによって年間を通じて何がしかの作物を収穫することが可能となり、「こういう農業を行うことで金が入るのです」と小長野さんは、森林農業の長所を説明する。
 「良いものを見せたい」と小長野さんが、カカオとバナナの根が絡まった地中を掘り出すと、ミミズが出てきた。有機質の土壌になりつつある証拠だ。
 「森林農業を行う前までは、道路と同じ黄土色だったのですが、土地に有機物のマテリアル(材料)を上手く使うことで、土の色が変わってきました。除草剤もあまり必要なくなるので、コストも下がることになります」  一行はマイクロバスに乗り、クプアスーを接ぎ木して栽培している混植地へと移動。同地は、EMBRAPAなどの協力を得て、様々なパターンのテスト栽培を実践している。
 小長野さんは、九六年にリンゴの接ぎ木研修のためJICAの支援を得て、長野県を訪問。その技術をアマゾンに導入し、五年前にはクプアスーの接ぎ木を初めて成功させた。接ぎ木したものは、そうでないものに比べ、 病気の被害を受けにくいという。
 プロジェクト・リーダーのデルマン氏は、「まだ森林農業は手探りの状態で、分からない部分も多いが、トメアスーの日系人たちが実践で培ってきた技術は大きく、本当に教えられることも多い」と評価していた。
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