ID 678
登録日 2006年 4月 1日
タイトル
衰えた木を診断・治療 再生や開花の達成感が魅力
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/junior/articles_2006/060330-3.htm
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元urltop:
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写真:
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東京都日野市にある植物園「京王百草園(もぐさえん)」にある江戸時代からの古木と言われる白梅も、新井さんがよみがえらせた木の一つです。7年ほど前、木のこずえの方から枯れ始めました。「木と周囲
の状況を調べた結果、裏山の向こうに団地ができ、地下水の流れが変わったのと、幹の周りが見物客に踏み固められたため、根が水を吸い上げにくくなったのが原因でした」
そこで、土壌に炭の粉などを入れて改良、根が張り出せるようにし、幹の周囲に柵(さく)をめぐらし、人が入れないようにした結果、木が勢いを取り戻し、再び花が咲くようになりました。「木の勢いが衰える原因には、風
や地下水、ひでりなど自然環境の変化や人為的なもの、病虫害、さらにはネズミやシカなどによる食害などがいろいろ考えられます。治療もトータルで考えて行います」
植物好きの新井さんは東京農業大学で樹木学を学んだ後、都内の造園会社に就職。いわゆる植木屋さんとして植木用樹木の生産と流通を担当、皇居や東京ディズニーシー、大学などのほか、最近では、庭園型結婚式
場の植樹も手がけました。仕事を通じて、病虫害にあった樹木の治療にも当たってきました。
樹木医は1991年にできた財団法人日本緑化センターの認定制度です。受験資格は、樹木の診断や治療など仕事や研究の経験が7年以上あることなど。1次審査の合格者は、約2週間の講義と実習、試験と面接を受
け最終合格者が決まります。
9年前に樹木医になった新井さんは、都内の街路樹や名木の診断のほか、タイ政府からの要請で、天然記念物になっているチークの巨木の治療に当たったこともあります。「樹木医になるには、植物だけでなく、動物や
虫などに幅広く興味を持つことが大事です」
今取り組んでいるのが、京都市・大覚寺の大沢池庭園の再生や東京・千鳥ヶ淵(ふち)の桜ソメイヨシノの樹勢回復など。「この仕事の魅力は一度衰えた木が葉をつけ、花が咲いた時の達成感。私は、木には寿命がないと
思っていますから、どんな衰えた木でも治る可能性があるのです」
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