ID 6994
登録日 2008年 4月 2日
タイトル
写真/ソメイヨシノの危機
.
新聞名
読売新聞
.
元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/zoomup/zo_080402_01.htm?from=yoltop
.
元urltop:
.
写真:
.
夜桜見物の宴席の輪ができた3月末、東京・上野公園でわずかな根元だけを残したソメイヨシノの幹を目にした。切り株は肌色の切断面が生々しい。昨年秋、伐採されたという。
「衰弱したソメイヨシノは全国的にも増えている」。昨年、上野公園内にある1000本の桜の8割を診断した都市緑化会社の樹木医は明かした。同園で「障害がある」と診断を下された木は133本にも達した。病気が見つ
かった23本は伐採された。樹齢50年以上がほとんどだった。
数百年の古木も珍しくない野生種のヤマザクラなどと比べ、ソメイヨシノは特にてんぐ巣病などの病気に弱い。4000本ある桜の9割がソメイヨシノの大阪城公園では昨年、20本のソメイヨシノが腐朽菌などに侵され伐
採された。「戦後の復興期に大量に植樹したので、被害が一斉に出始めているのでは」と担当者は話す。
「60年寿命説」もささやかれ始め、樹木医に治療を依頼する自治体も全国に広がった。都内では一昨年、「上野桜守の会」も結成された。「日本人の心のよりどころを後世の人にも見てもらいたい」(佐藤一也事務局長)。
地元有志が桜のカルテ作りなど地道な保全活動にあたる。
生育が良く、一斉に開花する性質が、戦後の国土復興の流れとも合い、各地で植樹が進んだソメイヨシノ。「剪定(せんてい)や施肥、土壌改良などを定期的に行えば長生きができるのです」。財団法人・日本花の会の小
山徹研究員は、人の手が寿命を延ばすと強調した。
..