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ID 6112
登録日 2008年 1月25日
タイトル
樹木の種子の話
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新聞名
放医研ニュース
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元URL.
http://www.nirs.go.jp/report/nirs_news/200712/hik10p.htm
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
 
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研究は、樹木の成長によく例えられます。新しい研究課題はシーズ(種子)と呼ばれ、そうした研究の種子を育てるための「萌芽的研究」が、放医研でも行われています。
本当の樹木を種子から育てるのは、なかなか難しいものです。「種子を苗床にまいたときは、全部出るか、全く出ないかどちらかだ」とはチェコの国民的作家カレル・チャペックの「園芸家12ヶ月」の中の一節ですが、種子 を発芽させるのさえ思うに任せないのは、樹木を実験に用いたり素人園芸で試したりしたことのある私の実感でもあります。
以前に松の苗を育ててみようと、家の近くの公園で五葉松の松かさを集めたことがあります。袋いっぱい採れた松の実を早速まいたものの、見事に一本も芽が出てきませんでした。子供の頃に地面にまいたコナラのドン グリはほとんどが発芽したものですが、樹木の種類によって発芽するための条件には大きな違いがあって、一筋縄ではいきません。樹木の種子には、それぞれがちょうど適した時期に発芽するように、種子の休眠を調節 するためのメカニズムが働いているようです。
同じ樹木であっても、年によって種子のできに良し悪しがあり、発芽のしやすさも異なります。ある樹木の研究者から聞いた話では、当たり年の良質の種子は、大切に冷蔵庫に保存しておいて、その後何年も実験に使うと いうことでした。毎年の天候は、こうした種子の質だけでなく、発芽そのものにも影響を与えます。また芽が出て成長を開始しても、りっぱな成木になるには何年、何十年とかかります。
こんなに思うに任せないさまざまな樹木の種子を、わざわざまいて育てる人も、世の中にはいるようです。日本ではあまりお目にかかりませんが、欧米の種苗販売会社のホームページには、膨大な数の樹木の種子のリス トが載っているものがあります。たとえば松でも、日本のアカマツを含めて何十種類も登録されています。顧客の多くはプロの造園業者か育種家なのかもしれませんが、こうしたカタログを見ていると、自分の庭にいろい ろな種類の樹木の種をまいて大きく育てることを想像してしまいます。
放医研の研究の種子も、それぞれに適した環境の中で芽を吹いて、たくさんの若木に育ってほしいと思います。
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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